種類株式とは?事業承継での重要性・活用方法を紹介

種類株式とは?事業承継での重要性・活用方法を紹介

株式と一口に言っても、実は様々な種類が存在します。

特に、平成18年に会社法が施行されて以降、「種類株式」と呼ばれるものが注目を集めています。「種類株式」とはどのようなものでしょうか。

ここでは、種類株式の意味やその種類の一覧、そしてM&Aや事業承継における活用事例などについて解説していきます。

種類株式とは普通株式以外の株式のこと

ここではまず、種類株式と普通株式との違いや、種類株式の種類と設定・変更方法などについて解説していきます。

種類株式とは、通常の株式(普通株式)とは権利や内容の異なる株式のことです。平成18年に施行された会社法では、2種類以上の株式を発行できることを定めています(会社法第108条)。

種類株式は、支配権の獲得、配当など株主の多様なニーズに配慮したものです。

なお、会社が種類株式を発行するためには、発行する株式の内容について、定款で所定の事項(剰余金の配当・残余財産の分配や譲渡制限など)を定める必要があります(会社法第108条2項)。

ただし、譲渡制限をかけられるのは非上場株式のみであり、上場株式にはかけられません。

種類株式は全9種類

会社法で認められている種類株式は、全部で9種類になります。

なお、これら9種類の株式を複数組み合わせて、会社独自の株式を発行することもできます。

種類株式の種類内容
剰余金の配当規定付株式剰余金の配当について、他の株式より優先または劣後させる株式
残余財産の分配規定付株式会社解散時などにおいて、残余財産の分配について、他の株式より優先または劣後させる株式
譲渡制限株式株式を譲渡する場合に、取締役会または株主総会の承認を要する株式
拒否権付株式株主総会または取締役会において、重要議案を否決できる権利(拒否権)を与えられた株式、「黄金株」とも呼ばれる
議決権制限株式議決権を行使できる事項に一定の制限を加えて発行された株式
取得請求権付株式株主が会社に対して保有する株式の買い取りを請求できる権利がついた株式
取得条項付株式一定の条件下において、すべての株式または一部の株式を、会社が株主の同意なしに強制取得できる株式
全部取得条項付株式株主総会の特別決議によって、会社が株主の所有する株式すべてを取得することができる株式
役員選任権付株式取締役・監査役の選任解任ができる株式

属人的株式との違い

属人的株式は、定款で株主ごとに議決権や配当、残余財産の分配に関する内容について定めた株式のことです(会社法第109条第2項)。種類株式は「株式」ごとに内容を異なるものですが、属人的株式は「株主」ごとに内容を差別化することができるものです。

属人的株式は種類株式と異なり、定款の内容を登記しないので、第三者の目に触れずに導入できます。

M&A・事業承継における種類株式の重要性

種類株式には様々な活用方法があります。

ここでは、M&A・事業承継における種類株式の重要性について、活用法を交えつつ解説していきます。

事業承継のタイミングをコントロールできる

経営権の移転のタイミングは、会社にとって重要な問題です。特に後継者が未熟な場合には、経営権の移転に慎重になることもあるでしょう。

そのような場合に、現経営者が拒否権付株式を所有することで、決定事項の拒否権限を残しておけば、経営権を移転するタイミングを慎重に見極めることができます。

経営権を集中できる

自社株式が親族などへ分散されると、後継者の議決権を確保できず、事業承継のみならず会社運営もスムーズに進められません。個別合意により株式を集中させようとしても、手続きは煩雑になりますし、必ず合意が成立するとも限りません。M&Aの頓挫に繋がる恐れもあります。

そのような場合、種類株式の中の一つである、全部取得条項付種類株式を発行することで、少数株主から株式をすべて買い取り、新たに後継者に新株を割り当て、後継者に経営権を集中させることが可能です。

議決をコントロールしやすくなる

株主は、株主総会における議決権を有するものです。それゆえ、誰が株式を保有しているかによって、事業承継やM&A、安定した経営が実現できるか変わってきます。特に、会社の経営を阻害する恐れのある者が議決権を行使する事態は防ぎたいものです。

そのような時には、一定事項のみ議決権を制限したり、議決権の行使条件を定めたりすることのできる議決権制限株式が役に立ちます。

種類株式の設定・変更方法

種類株式の新たな設定や変更をする場合には、まず、種類株式の内容と各種類株式の発行可能総数を定款で定める必要があります。

このような定款の変更や株式の募集事項などは、株主総会を招集し特別決議により決定することになります。

また、種類株式の種類の追加や内容変更、発行可能総数の増加を行う場合には、当該種類株式を所有する株主による、種類株主総会特別決議が必要になります。

まとめ:種類株式でスムーズな事業承継を

今回は、種類株式についてその意味や種類、事業承継時などでの活用方法について解説してきました。種類株式は経営戦略上、大変重要な株式です。

また、M&Aや事業承継において、種類株式の活用は考慮すべき重要なポイントです。それぞれの会社の株主比率や歴史的背景など置かれている状況によって、必要なノウハウも様々ですから、会社ごとに最適な種類株式の設定を行いましょう。

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