M&A・事業承継で登記簿謄本は重要?チェックすべきポイントを紹介

M&A・事業承継で登記簿謄本は重要?チェックすべきポイントを紹介

M&Aや事業承継を検討する際には、会社の現状、将来性、後継者、顧客、財務状況など、様々な観点から検討することが重要です。その際、会社の登記簿謄本も重要なチェックポイントになります。

ここでは、M&Aや事業承継における登記簿謄本のチェックポイントをご紹介するとともに、登記簿謄本とは何か、登記簿謄本で確認できる事項にはどのようなものがあるのかを紹介します。

【確認】登記簿謄本とは

登記簿謄本とは、不動産や法人など法務局で管理している情報(登記記録)を記載した登記事項証明書のことです。

法人に関する内容で謄本という言葉が出てくれば、会社や法人の登記事項証明書をよく指します。

ただし、土地や建物といった不動産の登記簿謄本も法務局では取得できます。そのため、どちらの謄本を指しているか、よく確認する必要があります。

ちなみに、市役所等では戸籍謄本を取得できます。このように、謄本にはいくつか種類があり、もともと謄本は”書き写した本”、”写本”、”コピーしたもの”といった意味合いがあります。

以下で、謄本に関連してよく使われる言葉を簡単にまとめました。正しく理解しておくことで、謄本の勘違いを防ぐことができます。

登記不動産や法人、債権など重要事項を公に明示するため(第三者に不利益を被らせないため)、公開された帳簿に事項を記載すること。記載してもらうことを登記申請とも言う。
商業登記商号や役員など商法等で定められた事項を登記すること。特に株式会社や合同会社など会社等に関する登記を行うこと。
法人登記一般社団法人やNPO法人など、会社以外の法人の登記を行うこと。
不動産登記不動産所有者の氏名、住所、抵当、相続など不動産に関する登記を行うこと。
登記簿登記された内容を記録したもの。かつては紙で管理されていた。
登記記録登記簿に代わり、登記された内容をデータ化し記録しているもの。
謄本(とうほん)謄本は書き写したものという意味がある。登記簿謄本なら、”登記簿”を書き写したという意味合いになる。なお、行政機関等から取得できる謄本には戸籍謄本、除籍謄本、不動産登記簿謄本、法人登記簿謄本などがある。
抄本(しょうほん)抄本は、一部を書き写したという意味がある。謄本では全てを書き写すという意味に比べ、抄本は一部を写したという違いがあり、抄本には戸籍抄本や登記簿抄本などがある。
登記事項証明書登記簿・登記記録の全部または一部を証明する書面。
登記簿謄本登記簿・登記記録のうち、3年前の1月1日から現在までの記録を全て書き写した書類。履歴事項全部証明書と同義。
履歴事項全部証明書3年前の1月1日から現在までの登記された会社情報を全てを記載した書類。登記簿謄本と同義。
登記簿抄本登記簿・登記記録の一部を記載した書類。履歴事項一部証明書と同義。
履歴事項一部証明書登記された会社情報の一部を記載した書類。登記簿抄本と同義。
現在事項証明書現在有効な登記記録を記載した書類。
閉鎖事項証明書登記簿謄本に記載されていない閉鎖された登記事項を記載した書類。

登記簿謄本の記載事項

それでは、登記簿謄本にはどのような内容が記載されているのでしょうか。登記すべき事項は法律で決められています。

1.商号など法人の基本事項

商号、会社法人等番号、本店住所、広告方法、会社設立の年月日は全て登記する必要があり、登記簿謄本に記載されます。

2.法人の目的

事業内容といった法人の目的も登記します。古物商など法人でなんらかの許可を申請する際は、会社の目的にその許可に関する記載がないと受理されない可能性があります。

3.株式・資本に関する事項

発行可能株式数、発行済株式の総数、種類株、株式の譲渡制限、資本金の額など株式と資本に関する事項が記載されます。

4.役員に関する事項

取締役や監査役、代表取締役など役員に関する情報も記載されます。代表取締役は住所も記載されます。

役員の選任や再任において登記を忘れてしまうケース(登記懈怠)があるため、忘れずに登記することが大切です。

5.機関設計等に関する事項

取締役会や監査役を設置する場合は、その旨が記載されます。

6.登記した日付

登記した日付とその理由(原因)が記載されます。原因は設立、商号変更や本店移転などがあります。

M&A・事業承継でチェックすべき4つのポイント

登記簿謄本のうち、M&Aや事業承継でチェックすべきポイントをご紹介します。

特に、役員任期などの会社の実態と登記簿が実態とあっていないことがあります。登記されず古いままの情報では、事業承継やM&Aにおいてデメリットになりえます。

ポイント1.役員の任期は切れていないか

役員の任期が切れ、再任や新しい役員が就任しても登記されていないケースがあります。再任となっても役員変更の登記をする必要があります。

しかし、意外と見落とされがちなこの視点。役員が選任・再任されても登記簿は古いままでは、会社の実態と登記簿でねじれが生じます。

このねじれは早期に解消しないと、登記懈怠で罰則が課される可能性があります。

ポイント2.株式の種類を確認

譲渡制限や拒否権付株式といった種類株式は登記が必要ですが、属人的株式は登記の必要がありません。

しかし、属人的株式はM&Aや事業承継においてチェックしておきたい株でもあります。属人的株式が設定されているかは登記簿では確認できないため、定款で確認します。

ポイント3.資産の所有者は誰か

ビジネスで使用している不動産等の所有者は一体誰なのか、今一度確認しておきたいポイントです。

とりわけ、中小企業等では代表の個人資産と会社の資産が一体化・混在していることも珍しくありません

登記簿などから資産の権利関係を明確にしておき、評価額や担保等の有無も確認できるとなお良いでしょう。

不動産の登記簿謄本は、法務局やオンラインから取得できます。

ポイント4.本店住所はどこか

本店所在地が代表の個人宅の住所になっていることがあります。特に、法人の新設時は代表の自宅で登記し、企業が成長してきたら事務所を借りて本店住所を変更するということがあります。

しかし、M&Aや事業承継を考えるとき、本店住所が代表の個人宅のままではその後のビジネスに支障が出る可能性があります。そのため、本店住所は代表の個人宅になっていないか確認しておく必要があります。

なお、令和4年9月1日以降、支店登記は不要と制度が変更されています。詳しくはこちらをご覧ください。

参考:法務省『商業登記規則等が改正され、令和4年9月1日から施行されます』

会社実務と謄本をよく確認してからM&A・事業承継へ

会社の営業実態と登記されている登記簿謄本の内容がねじれていることがあります。

M&Aや事業承継を検討する際は、登記簿を確認するだけでなく、法人の実態と一致しているかよく確認してください。

しかし、適切に登記されているか、実態に即しているか自力で確認するのは難しいことがあります。そのような時は、プロにチェックしてもらうと見落としを発見しやすくなります。

登記簿に関することも、ぜひリガーレへお問い合わせください。

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