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警備業界の売却相場は? M&A成功事例から学ぶ「警備員流出リスク」を防ぐ交渉術

技術者派遣の需要は近年高まっており、今後も市場規模は底堅く推移することが想定されます。
それに伴い、技術者派遣業界のM&A件数も増加傾向にあります。
この記事では、技術者派遣業界のM&A動向やM&Aのメリット、具体的なM&A事例などを紹介いたします。
目次
ここでは、技術者派遣業界の概要、市場動向、技術者派遣業界が抱える課題について解説いたします。
技術者派遣業(エンジニア派遣)とは、人材派遣業界のうち、ITシステム開発・組み込みソフト開発・機械設計・研究開発・品質保証など幅広い技術領域に特化した人材(エンジニア)を企業に派遣する事業を指します。
技術者派遣には、雇用形態の観点から大きく2種類の派遣形態があります。
| 区分 | 概要 | 主な特徴 |
| 常用型派遣 (無期雇用派遣) | 派遣会社がエンジニアを正社員または無期雇用社員として直接雇用した上で、クライアント企業へ継続的に派遣する形態。 | 派遣先での契約が終了しても派遣会社との雇用関係は継続。専門性の高いエンジニアに多く採用されており、技術者派遣では主流の形態。 |
| 登録型派遣 (有期雇用派遣) | エンジニアが派遣会社に登録し、案件ごとに有期雇用契約を締結してクライアント企業に派遣される形態。 | 派遣期間の終了とともに雇用契約も終了。短期・プロジェクト単位での柔軟な就業が可能。事務職派遣では一般的な形態。 |
なお、労働者派遣法では同一の事業所における有期雇用派遣の受け入れは原則3年が上限とされており、無期雇用派遣にはこの期間制限が適用されません。
また、派遣期間終了後に派遣先への直接雇用を前提とした「紹介予定派遣」という形態もあります。
厚生労働省「労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、人材派遣業界全体の売上高は2023年度に約9兆円に達し、過去最高を更新しました。
2014年度以降は景気回復・慢性的な人手不足を背景に拡大が続いており、コロナ禍においても増加傾向を維持しました。
分野別では、製造派遣がコロナ禍で一時的に落ち込んだ後に回復している一方、技術者派遣(IT・機械設計・研究開発など)は一貫して堅調な伸びを示しています。
特にDX推進・AI活用・半導体投資・省エネ対応など企業の技術投資が活発化する中で、即戦力となるエンジニア人材の派遣ニーズが高まっており、中長期的にも成長が期待される分野です。
主要上場企業の業績を見ると、直近5年で年率10%超の成長率で推移しており、市場の拡大を反映しています。・IT等)業界、上場企業売上高集計(2018年度より開示されている企業を対象)
技術者派遣業界特有の課題として、以下2点が挙げられます。
技術者派遣業界における最大の課題は「質の高いエンジニアの確保」です。
派遣需要が拡大する一方で、即戦力となる専門人材の供給は限られており、需給ギャップが慢性的に続いています。
特にIT・AI・機械設計などの高度スキル領域では売り手市場が定着しており、中小規模の派遣会社にとって競争力ある処遇(報酬・キャリアパス・福利厚生)の整備が急務となっています。
処遇改善は固定費の上昇を招くため、採用力の強化と収益性の維持を両立させることが経営上の重要課題です。
技術者派遣業界は参入障壁が比較的低いため、中小規模の派遣会社が多数存在し、受注獲得をめぐる競争が激化しています。
派遣単価の引き下げ圧力に加え、採用・教育コストの増加が重なり、中小事業者の収益環境は厳しい状態が続いています。
こうした状況を背景に、採用力・キャリア支援・スケールメリットで優位に立つ大手への業界集約が進みつつあり、M&Aによる規模拡大が有効な経営戦略として注目されています。
近年、技術者派遣業界では以下のような目的でM&Aが活発化しています。
優秀なエンジニアを抱える企業をグループ化し、人材調達力を一気に高める。
例えば建設技術者派遣を主力とする企業がIT技術者派遣会社を買収し、新たな事業領域へ参入する。
特定の派遣先業界や技術領域への依存を分散させるため、異なる強みを持つ企業を取り込む。
技術者派遣業界におけるM&Aを活用した場合の主なメリットは以下の通りです。
まずは売り手側のメリットをいくつかご紹介します。
後継者の確保が困難なケースや、株式取得資金の問題で事業承継が進められない場合でも、M&Aを活用することで事業・従業員・顧客などの経営資源を第三者へ円滑に引き継ぐことができます。
親族や従業員への承継では、後継者が独り立ちするまでの間、旧オーナーが個人保証を継続し続けざるを得ないケースがあります。
M&Aにより買手企業が保証・担保を引き継ぐことで、この負担が一括して解消されます。
後継者問題が解決しなければ廃業を余儀なくされ、長年会社を支えてきた従業員が職を失います。M&Aを選択することで、従業員の雇用・労働条件を維持したまま事業を存続させることができます。
規模・財務基盤ともに大きな買手企業の経営資源を活用することで、自社単独では実現しにくい事業拡大と経営安定が期待できます。
M&Aによる売却価格は、親族内・従業員承継と異なる評価方法が適用され、一般的に高い水準となります。長年の経営努力に見合った対価を手にできる機会です。
続いて、買い手側のメリットです。
慢性的な人材不足が続く技術者派遣業界では、M&Aにより対象会社のエンジニア・顧客基盤を一括取得できる点が最大のメリットです。
採用・育成に要する時間とコストを大幅に短縮できます。
新規エリアへ自力で参入するには市場調査・拠点設置・人材採用・顧客開拓に多大なコストと時間がかかります。
M&Aなら既存の拠点・顧客基盤・ノウハウを即座に取得でき、スムーズなエリア展開が可能です。
また、双方の顧客に互いのサービスをクロスセルすることで新たな収益機会も生まれます。
M&Aにより、自社が持たない技術領域の許認可・専門ノウハウ・人材を包括取得できます。
双方の強みを組み合わせたグループ戦略により、事業ポートフォリオを多角化しながら新たな収益機会を創出できます。
ここでは、技術者派遣業界の売却相場について解説いたします。
中小企業のM&Aでは、時価純資産+営業権(EBITDA×2〜4年程度)で算定される価格が一般的な取引レンジです。
(例)時価純資産300百万円 / EBITDA直近3期平均50百万円
300百万円+(50百万円×中央値3年)=450百万円
※EBITDA;営業利益+減価償却費
類似上場企業との比較(EV/EBITDA倍率)も参考になります。技術者派遣業界の主要上場企業のEV/EBITDA倍率中央値は直近で約8〜9倍の水準で推移しています。
(例)EBITDA50百万円 / 非事業用資産100百万円 / 無借金の場合
50百万円 × 8.6倍 + 非事業用資産100百万円 = 530百万円
※評価方法の詳細はこちらの記事で解説しておりますので、ご参照ください。
https://ligare.management-facilitation.com/test/contents/4417/
ここでは、技術者派遣業界における最近のM&A事例を3件ご紹介します。
㈱網屋は2023年8月23日付で、IT技術者派遣を手掛ける㈱グローブテック・ジャパン(東京都千代田区/売上高約2.5億円)の全株式を取得し子会社化しました。
網屋はサイバーセキュリティ分野に強みを持つ企業です。
セキュリティエンジニア派遣事業を立ち上げるにあたり、エンジニア派遣を主業とするグローブテック・ジャパンを取得することで、自社のサイバーセキュリティ人材育成ノウハウを組み合わせた高付加価値なセキュリティエンジニアの派遣事業を構築することを狙いとしたM&Aです。
㈱ワールドホールディングスは2023年5月22日付で、技術者派遣事業を手掛ける㈱日本技術センターの全株式を取得し子会社化しました。
ワールドホールディングスは「ものづくり」領域の川上から川下まで幅広い人材サービスを展開しています。
日本技術センターは高度な機械設計技術者を多数擁し、大手メーカー向け製造・技術者派遣のほか機械・電気・電子・ソフトウェア分野の請負事業を手掛け、特に関西地区に強みを持っています。
本件は技術分野の強化および西日本エリアの事業拡大を目的としたM&Aです。
㈱コアコンセプト・テクノロジーは2023年5月19日付で、システム開発・エンジニア派遣を手掛ける㈱ピージーシステム(山口県宇部市/売上高約5.4億円)の全株式(自己株式を除く)を取得し子会社化しました。
ピージーシステムは山口県宇部市・広島市を拠点に、地場企業や官公庁・自治体向けのシステム開発・運用保守、およびシステム開発会社へのエンジニア派遣を手掛けています。
地方拠点の拡充と技術リソースの確保による事業規模拡大を狙ったM&Aです。
技術者派遣業界でM&Aを行う際に留意すべきポイントを解説いたします。
技術者派遣業において、買い手側がM&Aを行う主要な目的の一つは優秀なエンジニアの確保です。
しかし、会社の売却・買収をきっかけに従業員が退職してしまうと、M&Aの目的そのものが損なわれます。従業員への説明内容・タイミングを売り手側・アドバイザーと慎重に検討し、PMI(M&A後の統合プロセス)において処遇・キャリアパス・職場環境を丁寧に整備することが成功の鍵となります。
技術者派遣会社では、派遣契約に加えて「請負契約」で受注しているケースも多く見られます。
請負契約はプロジェクトの完成責任を負うため、進捗遅延・品質問題・追加費用などの簿外債務リスクが内在します。デューデリジェンスにおいて各請負案件の採算・進捗・契約条件を詳細に確認し、M&A後のプロジェクト管理体制が整備されているかを見極めることが重要です。
技術者派遣業界は、DX・AI・半導体などの技術投資需要の高まりを受けて中長期的な成長が期待できる分野であり、M&Aによる規模拡大・領域拡大・人材確保の動きは今後も続くとみられます。
売却・買収を問わず、まずはM&A専門家にご相談されることをお勧めします。
専門家は豊富な知識・実績をもとに、最適な相手先の探索やM&A手法の選定・交渉サポートを行います。
弊社は技術者派遣業界のM&Aに精通しているほか、財務・税務デューデリジェンスにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
この記事の執筆

シニアアドバイザー清水洋伸
専門領域:M&Aアドバイザリー、財務・税務DD、財務コンサルタント、資金調達支援等
大学卒業後、大手銀行に入行。
M&A、事業承継、ファイナンス等法人ソリューション業務に約13年間従事。御堂筋税理士法人に入社後は、M&Aアドバイザリー業務を軸に、円滑な事業承継ならびに戦略的な企業成長を実現していくうえでのサポートを実施している。お客様に寄り添った伴走型支援を信条とし、お客様の成長・発展に貢献して参ります。
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