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M&Aは企業の成長戦略として非常に有効な手段です。
新市場への進出、技術力の獲得、人材の確保といった多くのメリットが期待される反面、リスクも存在します。
M&Aを成功に導くためには、事前にリスクについて知り、リスクマネジメントすることにより、リスクを最小限に抑えることが重要です。
この記事では、M&Aのリスクについて、売り手側と買い手側の両視点で詳しく解説します。
目次
M&Aのプロセスは非常に複雑であり、M&Aの成約まで長期間にわたるため、リスクも多数存在します。
M&Aにおける主なリスクには、「財務リスク」、「法務リスク」、「経営リスク」、「人材リスク」などがあります。
買い手側、売り手側それぞれに異なるリスクがあるため、事前にどのようなリスクがあるのか、理解しておくことが必要です。
M&Aで最も警戒すべきリスクの一つが「財務リスク」です。買収対象企業の財務状況が正確に把握できていない場合、想定外の債務やキャッシュフロー問題が買収後に発覚することがあります。
【主な財務リスクの例】
これらを防ぐためには、財務デューデリジェンスを通じて、キャッシュフローや資産評価を正確に分析することが不可欠です。
また、第三者による公正な評価(バリュエーション)を行うことも重要です。
法務リスクとは、買収対象企業が抱える法律上の問題によって、買い手側が損失を被るリスクを指します。近年では、労働関連法や独占禁止法、知的財産権など、多方面の法的チェックが求められています。
【主な法務リスクの例】
法務デューデリジェンスを徹底し、契約・許認可・訴訟履歴などを詳細に確認することが肝要です。特に海外企業の買収では、現地法令や文化的背景の理解も欠かせません。
M&A後の経営リスクは、「PMI(Post Merger Integration、統合プロセス)」に失敗することから生じます。どれだけ条件の良い買収であっても、統合が上手くいかなければ期待するシナジーは実現しない可能性があります。
【主な経営リスクの例】
PMIを成功させるには、買収前から明確な統合計画を策定し、経営陣が一枚岩となってリーダーシップを発揮することが求められます。
最後に見逃してはならないのが「人材リスク」です。
M&A後に、被買収企業のキーパーソンや優秀な人材が離職してしまうと、企業価値が大きく毀損する可能性があります。
【主な人材リスクの例】
このリスクを最小化するためには、早期にビジョンや方針を明示し、買収後のキャリアパスや処遇を丁寧に説明することが重要です。また、M&A直後からのエンゲージメント向上施策も有効です。
M&Aにおいて、一般的に売り手側よりも買い手側の方がリスクが大きく、注意すべきポイントも多く存在します。
売り手側が提供している情報は、必ずしも正しいとは限りません。
契約書において表明保証を入れるといった方法で担保してもらうものではありますが、リスクがゼロになるわけではありません。
また、簿外債務や偶発債務といった財務諸表には載っていない債務がある可能性もあります。
M&Aの実行後、経営統合(PMI)がうまく進まず、期待していた収益が上がらない場合や、想定したシナジー効果が得られない場合も考えられます。
M&Aによる買収の際、対象会社のノウハウやブランド力、優良顧客との取引などといった財務諸表に載っていない資産の価値を「のれん」として上乗せし、のれんは資産に計上されます。
しかし、M&A後に、事業の収益が想定より少なく、のれんが過大計上だったと判断した場合は、のれんを一気に損失として処理(減損処理)しなければなりません。
正しくのれんの価値を見積もれておらず、過大に計上してしまった場合や、想定していたシナジー効果が得られなくなった場合は、多額の減損を計上することとなり、M&Aは失敗となってしまいます。
これを防ぐためには、買い手側企業は慎重にのれんを評価し、適切な価格での買収を行うことが重要です。
対象会社の労務管理がずさんである場合、残業代の未払いや有給休暇の未取得などの労務関係のトラブルが生じる可能性があります。
近年は、中小企業においても働き方改革が進みつつあるものの、まだ古い管理体制のままであるケースもあります。
労働基準法などの法律に則り、労務管理が適切に行われているか、事前に確認しておくことが重要です。
M&A時のリスクとして、対象会社の従業員がM&Aによる買収後に離職するリスクが挙げられます。
買収後に従業員の離職が相次ぐことにより、業績が悪化する可能性もあります。
また、対象会社の中に優秀な従業員やキーマンとなる従業員がいる場合、そのような従業員が離職してしまうことで、想定していたシナジー効果が得られないケースもあります。
契約書のキーマン条項等である程度の拘束はできるものの、期間は限定され、離職のリスクはゼロとはならないため、注意しましょう。
M&Aの売り手側は、契約が成立した後もリスクがなくなるわけではありません。
売却前も、売却後もリスクがあるため、買い手側と同様、注意してM&Aのプロセスを進める必要があります。
M&Aは交渉事であるため、買い手から、売り手側の想定と異なる条件の提案をされる場合もあります。
相手の提案をそのまま受け入れると、不利な条件や価格での売却となる可能性があるため、自社で優先したい条件を踏まえ、相手の提案内容を検討することが重要です。
会社や事業の売却は買い手がいなければ進めることができないため、必ずしも、売りたいタイミングで希望の条件で売却できるとは限りません。
売り手が売りたいタイミングに、提示する条件で買いたいという人がいればM&Aが成立しますが、買いたい人が見つからなければ取引は成立しません。
その場合は、価格交渉により売却価格が下げられる可能性や、売却自体ができないという可能性もあります。
買い手が見つからず、M&Aの成立までかなりの時間を要することもあるため、売却の意向がある場合は、早めにM&Aの専門家に依頼し、買い手探しを始める方がいいでしょう。
M&Aによる買収前に売り手側に落ち度があったり、契約に違反する事項があったりした場合、それによって買い手側が不利益を被った時は、売り手側が損害の責任を取ることを求められる可能性があります。
買い手側との関係悪化にとどまらず、係争に発展し、高額の損害賠償がかかるリスクも考えられます。
まずは買い手側、売り手側双方が、M&Aを行う前に把握しておくべき注意点を紹介します。
M&Aを成功に導くために最も重要といえるのは、M&Aの目的を明確にすることです。
後継者問題の解決、人材の獲得、営業エリアの拡大、事業の多角化、経営基盤の強化など、M&Aの目的は企業によって異なります。
達成したい目的によって適したM&Aの手法は異なるため、まずは目的を明確にしなければ、M&Aの戦略を策定し、実行することは難しいと言えます。
M&Aの実行自体を目的とするのではなく、M&Aを実行した先の目的は何かを考え、M&Aの戦略を考えることが必要です。
M&Aを実行する相手企業は慎重に選ぶことが重要です。
たとえ相手企業が客観的に優良企業に見える場合であっても、自社と合うかどうかは別問題です。
相手企業の選択を誤ると、想定したシナジー効果が得られないだけでなく、コストだけが残り、業績が大きく悪化する可能性もあります。
自社が達成したい目的に合う企業かどうか、相手企業の良さ、強みを活かせるか、相手企業の欠点を補完できるか、どのようなシナジー効果が得られるか、など多角的な視点で相手企業の検討を行いましょう。
M&Aの実行にはまとまった資金が必要となるため、必要資金の見積もり、資金調達は欠かせません。
対象会社の価値や自社の状況により、必要資金は異なります。
対象会社の価値の算定やその他必要となる費用などは、専門的な知識がなければ正しく見積もることができないため、必ず専門家に相談しながら進めましょう。
予算を大幅に超過してしまうことのないよう、早い段階で必要資金の見積もりをとることが重要です。
M&Aにおいては、情報漏洩のリスクに十分注意する必要があります。
M&Aを行うという情報が社内外に漏れてしまった場合、従業員が離職してしまったり、相手方との交渉が失敗してしまうおそれがあります。また、上場会社が絡む場合は、M&A情報により株価が大きく変動する可能性もあります。
M&A情報を扱う人すべてが、「インサイダー情報を保持している」と理解した上で、近親者や親しい友人にも情報を漏らさないよう、慎重に取り扱う必要があります。M&Aの仲介者やアドバイザー、相手候補の企業とも、秘密保持契約を締結することを検討しましょう。
M&Aを成功させるためには、リスクマネジメントを行うことが重要です。
上記のようなリスクをできる限り回避するための方法を紹介します。
M&Aの実行前に、デューデリジェンス(買収監査)を実施し、対象会社の表面化していないリスクを調査することが重要です。
デューデリジェンスとは、M&Aによる投資前に、対象会社の経営状況や財務状況、リスク等を調査することを指します。
デューデリジェンスは、財務・税務・法務・ビジネス・人事といった様々な観点で行い、具体的には、簿外債務、偶発債務、税務調査の指摘事項、過去の違法行為や紛争といった事象を調査することが一般的です。
専門知識が必要となるため、税理士、会計士、弁護士などの専門家に相談することを検討しましょう。
従業員や役員の処遇や雇用条件に関して、想定していた条件と異なることで、M&A後に揉めてしまう可能性もあります。
事業譲渡の場合、株式譲渡のように、権利義務の全てが引き継がれるわけではないため、引き継ぐ人員を明確にしておく必要があります。株式譲渡の場合には、業務範囲をどうするかなど、検討しておく必要があります。
M&A後、役員や従業員の雇用条件はどうなるのか、また、各業務がどのように引き継がれるのかなど、細かい点にも注意した上で、条件を提示することが重要です。
また、従業員だけでなく、社長の処遇についても注意が必要です。
中小企業のM&Aにおいては、M&A後は売り手側の社長は退任するケースが多いですが、売り手側の社長に「顧問」といった肩書を与え、数カ月~1年程度の期間を定め、経営の引継ぎのために会社に残ってもらう場合もあります。
その場合には、引継ぎ期間やその間の給料等について、事前に検討しておきましょう。
表明保証条項とは、契約に関する事項が真実かつ正確であることを保証する条項のことをいいます。
補償についても規定することが一般的であり、表明した事項に違反することがあれば補償を請求できます。
例えば、買い手側からすると、売り手側が、対象会社に簿外債務はないと表明していたにもかかわらず、簿外債務が見つかった場合、損害賠償を請求することが可能です。
つまり、表明保証条項は、買い手側にとっては、リスクを回避する機能も持ち合わせているといえます。
一方で、売り手側はそのような違反があれば損害賠償を請求されるリスクがあるということでもあります。
そのため、売り手側は、M&A交渉において不利な情報があったとしても、正確に情報開示を行い、虚偽の申告を行わないことが重要です。
PMIは「Post Merger Integration」の略称で、M&Aの成立後に、譲渡企業と譲受企業の経営、業務、意識などを統合する一連のプロセスを指します。
M&Aにおいて、譲渡企業、譲受企業が共に混乱するケースは少なくなく、PMIは、M&Aの成否を握る非常に重要なものです。一般的にPMIはM&Aの成立後から実施されますが、M&Aの早い段階からPMIを視野に入れた準備を行い、スムーズに実施することにより、経営統合が成功しやすくなります。
上記のような多岐にわたるM&Aのリスクを回避するためには、専門的な知識が必要となります。
経営者の方や従業員の方だけでは対応が難しいことも多いと考えられるため、M&Aの仲介会社やアドバイザーといった専門業者を活用することが有効です。
リガーレではM&Aの経験豊富なアドバイザーが各企業の状況を把握し、それに応じたサポートをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
M&Aは譲渡企業と譲受企業の双方にとって非常に大きなメリットをもたらす可能性がある一方、リスクを負う可能性もあります。今回は買い手側と売り手側それぞれに起こりうるリスクを紹介しました。
M&Aを実施する際には、財務、法務、経営、人材といった視点でリスクがないか精査し、しっかりと対策を講じる必要があります。M&Aの専門家等と相談しながら慎重に進め、最終契約の締結前にデューデリジェンスを実施することも検討しましょう。
弊社では、第三者の立場から財務税務デューデリジェンスや企業価値評価の対応を行うことも可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の執筆

シニアアナリスト堀内槙
専門領域:株式価値算定、財務・税務DD、統合後の事業計画の策定等
地方銀行入行後、支店での窓口業務、融資事務、運用商品の提案サポートを経て、M&A本部に異動。主にバックオフィスとして、M&Aに関する提案書の作成、契約書の草案作成、法務チェックに加え、累計数百件を超える株式価値算定の経験を持つ。
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