レーマン方式とは?成功報酬の計算式について解説!

レーマン方式とは?成功報酬の計算式について解説!

後継者問題や先の読めない経営環境への不安から、中小企業のM&Aが加速しています。

売主・買主とが当事者同士で直接M&Aを進めることもあります。一方で、最適なお相手探し、リスク事項の検出、条件面の交渉など、ただでさえ忙しい経営者にとって負担が大きく、スムーズに進まないことも考えられます。

そのため、専門家であるM&Aアドバイザリー会社(以下、専門会社)に業務を委託することも有効な手段の一つになります。

また、専門会社は年々増加傾向にあり、サービス内容、知識、情報量、活動エリアなど、各社特徴をもっています。

手数料に関しても、着手金、中間報酬、リテーナーフィー、成功報酬など、各社によって様々な体系があります。

今回は、この中でも大きな比率を占める成功報酬にて採用される計算式、レーマン方式について詳しく解説します。

また、具体的な計算例を用いたパターン比較や、レーマン方式全般における注意点にも触れていきたいと思います。

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レーマン方式とは


レーマン方式とは、売主もしくは買主が各々で委託した専門会社に対する成功報酬額計算において、広く用いられている計算方式の一つです。

レーマン方式という名称の由来は、米国の大手投資銀行リーマンブラザーズが用いていた方法という説、ドイツの経営学者であるレーマン博士が考えた方法だという説など、諸説あります。

レーマン方式での計算は、計算対象となる金額に応じて、段階的にパーセントを乗じて算出していく方式のことをいいます。

以下に例となる表を記載します。

【レーマン方式の例】

譲渡金額料率
5億円以下の部分5%
5億円超 ~  10億円以下の部分4%
10億円超 ~  50億円以下の部分3%
50億円超 ~ 100億円以下の部分2%
100億円超の部分1%

レーマン方式の計算手順は、以下の通りです。

① 計算対象となる金額を定める
② レーマン表に段階的に当てはめ、各階層での手数料額を計算する
③ 全ての階層の手数料額を合計する

次章以降にて、注意点や具体的な計算を後述します。

レーマン方式の注意点

レーマン方式を採用している専門会社が多い中、よく見てみると各社少しずつ前提となる数値が異なる場合があります。

そのため、「同じレーマン方式だと思っていたら、実は手数料額が想定よりもかなり高くなっていた」ということも起こる可能性があります。

このような事態に陥らないよう、ここではレーマン方式を比較する際に注意すべきポイントについて、触れてみたいと思います。

(1)計算対象になる金額は何か


まずは、レーマン方式の計算のベースとなる、計算対象金額は何かということです。

中堅中小企業のM&Aにおいては、この計算対象金額を「譲渡金額」もしくは「時価総資産」のいずれかを採用している専門会社が多く見受けられます。

この違いは、手数料金額に大きく影響を与えます。

以下、例を用いて説明します。
 
   例:譲渡金額6億円、負債6億円、時価総資産12億円

上記のレーマン表に当てはめる際、計算対象を譲渡金額としている場合は、譲渡金額6億円のうち5億円部分に対して5%(=2,500万円)、残り1億円部分に対して4%(=400万円)となり、成功報酬の合計は2,900万円となります。

一方、計算対象を時価総資産としている場合は、負債部分も加わるため、時価総資産12億円となります。

5億円部分に対して5%(=2,500万円)、残りの5億円部分に対して4%(=2,000万円)、残りの2億円部分に対して3%(=600万円)となり、成功報酬の合計は5,100万円となります。

計算対象金額が異なる双方を比較すると、2,200万円もの差があることがわかります。


つまり、時価総資産を前提にしている場合、譲渡企業の中でも特に借入金等を含めた負債額が大きい会社ほど、成功報酬額も割高になるという傾向があることがわかります。

(2)最低報酬額はいくらか


次に注意すべき点は、最低報酬額です。

上記のレーマン方式の例では「但し、最低報酬2,000万円とする」との記載があるように、最低報酬額が設定されていることが一般的です。

最低報酬額は、200万円、500万円、1,000万円、1,500万円、2,000万円、2,500万円など、専門会社によって様々です。

特に、マイクロM&Aと呼ばれる比較的小規模のM&Aにおいては、注意が必要です。マイクロM&Aは、譲渡金額もしくは時価総資産額等も小さくなる傾向があるため、レーマン方式での計算テーブルに乗せることができず、最低報酬額がそのまま適用されることが多くあります。

そのため、譲渡金額のほとんどが手数料で消えていくということもあり得ますので、最低報酬額は専門会社を選定する際にも重要な要素の一つになります。

また、最低報酬額の違いは、専門会社それぞれの得意とする企業規模を表しているとも読み取ることができます。
   
 

(3)金額テーブル


3つ目の注意点は、金額テーブルです。上記のレーマン方式の例は、一般的な金額テーブルを記載していますが、専門会社によっては多少金額のレンジ幅が異なる場合がございます。

特有の金額テーブルであったため、実際に計算してみたら想定していた金額と違ったということも起こり得ますので、専門会社に事前確認のうえ手数料の試算をしてみるのも良いかと思います。
   

(4)買手企業と専門会社とのベクトルが合わない


最後の注意点は買手企業に限ったことですが、専門会社とのベクトルが合わない点です。

レーマン方式による成功報酬計算は、譲渡企業側でも買手企業側でもほぼ同様の計算方式が採用されます。

譲渡企業側は、なるべく高く売却できるに越したことはありません。

そのため、譲渡企業とセルサイドFA(売手側の専門会社)は、いずれも譲渡金額が高くなるように取り組めるため、向かうべきベクトルの方向が一致します。

一方、買手企業はなるべく低い金額で企業買収できるに越したことはありません。

しかしながら、レーマン方式は譲渡金額(もしくは譲渡金額を含んだ時価総資産)の金額が上がれば上がるほど、成功報酬額も上昇していく特徴があります。

つまり、買手企業のメリットを最優先に考えるべきバイサイドFA(買手側の専門会社)が、譲渡金額を下げる交渉をすることは自らの成功報酬を下げることに繋がり、ベクトルの方向性の不一致が起こります。

買手企業はこのことを踏まえたうえで、成功報酬額に関わらず真摯に取り組む専門会社か、慎重に見極めることが重要になってきます。

成功報酬体系を柔軟に検討できる専門会社もあるため、気になる方はご相談されることをおすすめします。

まとめ


今回は、専門会社に支払う成功報酬の計算時に用いられるレーマン方式について解説いたしました。

M&Aアドバイザリー業界では一般的な計算方式ですが、各社少しずつ特徴や違いがあります。

専門会社を選定する際には、前述した注意点を踏まえ、まずは各社より手数料体系をヒアリングしてみることをおすすめします。

また、各社のレーマン方式に自社の数値を当てはめてみて、実際の手数料額を試算してみると、各社の違いもより分かりやすいかと思います。

とはいうものの、M&Aという重大な決断をすることにおいて、専門会社を選定する要素は何も手数料水準だけではないでしょう。

各社が持っている得意分野、サービス品質、情報量、熱意、相性なども選定の重要な要素になりますので、ご自身の優先順位を明確にした上で、専門会社の選定を進めていくことが肝要だと考えます。

リガーレでは、M&Aアドバイザリーのみならず、財務・税務デューデリジェンス、セカンドオピニオンとしてのご支援も提供しております。是非お気軽にご相談ください。

この記事の執筆

シニアアドバイザー田澤脩平

専門領域:M&Aアドバイザリー、Projection、Valuation策定等

メガバンクに入行、中小零細から上場まで幅広い企業への法人営業に従事。その後、国内大手アドバイザリーファームにて、会計事務所のネットワーク開拓に加え、多数のM&A案件に携わる。事業会社へ転職後は自社のM&A専任者として、企業の買収・売却を実施。アドバイザリー、買手、売手の3つの面からM&Aに携わってきた経験を持つ。

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