M&Aにより買収された会社はその後どうなる?従業員の処遇や会社の運営にもたらす変化について解説

M&Aにより買収された会社はその後どうなる?従業員の処遇や会社の運営にもたらす変化について解説

M&Aにより買収された会社はどうなるのでしょうか?M&Aが従業員や会社に与える影響及びスムーズな統合を実現するためのポイントをご紹介させていただきます。

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M&Aが売手企業にもたらす可能性のある変化

M&Aが売手企業にもたらす影響については、株式譲渡や事業譲渡、合併等のスキームによりその影響度合いも様々ですが、ここでは一番ポピュラーな株式譲渡のケースを中心に解説していきます。

企業の経営方針やガバナンス

株式譲渡が行われた場合、法人格は残るものの経営権が新オーナーへ移るため、買手企業(親会社)から新しい経営陣が派遣されるケースが一般的です。

そのため、今までのオーナーとは違った経営方針が明示されたり、ガバナンス体制の変化に伴うルールの変更等が行われたりする可能性があります。

企業の風土や文化

上述の通り、新経営陣による新たな体制のもと運営されていくことが多く、あわせて企業の風土や文化等も変わる可能性があり、特に従業員にとって働きづらい環境になってしまわないように注意が必要です。

近年は、企業が今まで築き上げてきた風土や文化をそのまま尊重するケースも多くみられ、社風を変えてしまうことをリスクと感じる買手企業も多くなっているようです。

従業員への影響

次に従業員への影響について、少し詳しく解説していきます。

労働条件

株式譲渡の場合、大きく変化するケースは少ないと思われますが、場合によっては出向等を通じてグループを横断し、勤務地や勤務内容、勤務時間などが変更となる可能性があります。

給与、退職金

株式譲渡の場合、こちらもすぐに変化する事項ではなく、買収後も給与水準や退職金制度については変更しないケースが一般的です。

一方で、時間をかけて親会社の規則に合わせていくケースもありますが、原則、労働条件は会社と従業員の双方合意により決定されるものですので、一方的な変更は不利益変更禁止の原則にも抵触する可能性もあり、個別の同意が必要となるため注意が必要です。

福利厚生

福利厚生制度についても、株式譲渡の場合はそのまま引き継がれるケースが一般的です。

給与同様、いままでの福利厚生制度を一方的に不利益に変更した場合等は、不利益変更禁止の原則に抵触する可能性もあり注意が必要です。

キャリア形成

M&Aを行う場合、買手企業が売手企業より大きな会社であることが多く、売手企業の従業員にとっては譲渡前に比べ業務内容やキャリアの幅を広げるチャンスになります。

買手企業のことも良く理解し、グループ全体に求められるスキルは何か等を考え、新しいことにも積極的に取組んでいきましょう。

取引先への影響

株式譲渡の場合、法人に紐づく取引先との各種契約等はそのまま引き継がれることになります。

ただし、取引先との契約の中に、チェンジオブコントロール条項(COC条項)がついている場合は注意が必要です。

COC条項がある場合は、事前の報告または承認を怠ると契約解除事由に該当してしまう可能性があるため、COC条項の有無については事前に確認する必要があります。

買収後のスムーズな統合を実現するために

では、買収後のスムーズな統合を実現するために必要なことは何でしょうか?

オーナー及び従業員それぞれが気を付けるポイントについてご紹介いたします。

新オーナーに求められる事項

M&A後の新オーナーが気を付けるべきポイントについては下記のような事項が考えられます。

ビジョンの提示

M&Aの交渉過程において、買手は売手に、なぜ本件に関心をもったか、買収後の対象会社をどのように成長発展させていくのか等のお話をされると思います。

従業員やその他ステークホルダーにも同様に、対象会社の今後の事業戦略や中期経営計画、親会社を含むグループ全体のビジョン等を提示し、このM&Aが前向きな取引である旨を理解していただく努力が必要です。

従業員との信頼関係構築

従業員との信頼関係構築は最重要ポイントと言っても過言ではありません。

クロージング後、速やかに個別面談等にて従業員とのコミュニケーションを図り、信頼関係構築を進めましょう。

その際には上記ビジョンの提示のほか、従業員それぞれに期待すること、今後のキヤリア形成の可能性について等、従業員がM&A後も将来に渡り安心して働ける環境であることを丁寧に説明することが求められます。

ゆるやかな変革、統合

M&Aを機に、新たな経営方針のもと必要に応じた変革も進めていかれることと思いますが、上述の通り、対象会社にも今まで築き上げてきた風土や文化があります。

そのような背景を無視して急激な変革を進めてしまうと、従業員のモチベーションや業務遂行に支障がでてしまう恐れもあるため、変革を進める際は従業員の十分な理解とゆるやかな移行を心掛けましょう。

従業員に求められる事項

次に従業員が気を付けるべきポイントにつき紹介します。

新オーナーとの信頼関係構築

従業員側からも積極的に新オーナーとのコミュニケーションを図り、双方理解を進める作業が重要です。

特に、M&A直後は今後どうなっていくんだろうと、不安に感じることも多くなると思います。

そのような不安は、質問等を通じてなるべく早期に解消することが大事です。

また、M&A直後が一番質問をしやすい機会です。

時間が経つと「今更聞きにくいな…」というようなことも出てくるかもしれませんので、早い段階での積極的なコミュニケーションが重要です。

新しい経営方針、取組への理解

新しい経営方針のもと、今までとは違ったルールや取組への従事が求められるかもしれません。

そのような際は、「今まではこうだったから」と新たなルールや取組を拒否するのではなく、新体制に素早く順応していく柔軟さが求められます。

最大限経営方針を理解する努力をし、新たな取組を積極的に受け入れる前向きな姿勢が大切です。

新たな環境下での積極的なチャレンジ

上述の通り、M&Aを行う場合、買手企業が売手企業より大きな会社であることが多く、売手企業の従業員にとっては譲渡前に比べ業務内容やキャリアの幅を広げるチャンスにもなります。

買手企業のことも良く理解し、グループ全体に求められるスキルは何か等を考え、新しいことにも積極的に取組んでいくことで、会社への貢献のみならず自身の成長にもつなげることができます。

まとめ

M&Aは従業員や会社の未来にとって大きな転機となります。

そのような転機を最大限に活かし、当初の目的を達成するためにも、まずは信頼できる専門家を交え、しっかり時間をかけて検討していくことが重要です。

御堂筋税理士法人グループの株式会社リガーレでは、数多くのM&Aにおける支援実績をもち、また戦略立案の段階から中長期での伴走サポートも得意とするプロフェッショナル集団です。

会社のより良い未来を目指してM&Aを実現したい、という企業様またはオーナー様は、是非、株式会社リガーレへお気軽にご相談ください。

この記事の執筆

取締役COO青山佳敬

専門領域:マネジメント、M&Aアドバイザリー

地方銀行入行後、法人向けファイナンス業務を担当。

その後、監査法人系M&Aアドバイザリーファームへ出向し、以後長期に渡りM&Aアドバイザリー業務に従事。国内ミドルマーケット案件を中心に多くの案件に責任者として関与、事業会社の後継者問題解決・企業価値向上に寄与。

2021年御堂筋税理士法人グループに入社、2022年からは株式会社リガーレとしてM&Aアドバイザリー業務を中心としたソリューションサービスを提供している。

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