スモールM&Aとは?概要やメリット・デメリットを解説!

スモールM&Aとは?概要やメリット・デメリットを解説!

近年、M&Aの選択肢は大手企業だけでなく、中小企業や小規模事業者にまで裾野が広がっています。

今回は、スモールM&Aというものについて解説を行っていきます。

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スモールM&Aの定義

スモールM&Aとは、比較的小規模な企業同士や事業部単位の買収や統合、個人が買収母体となるようなM&Aのことを一般的に差します。

言葉自体は、具体的に定義づけされているわけではないため、どの規模以下からスモールM&Aとなると明確に決まっているわけではありません。

ただし近年、取引金額が数百億円を超えるような大企業のM&Aだけでなく、数千万円~数十億円規模の中小企業におけるM&Aも活発化している中で、さらに小規模の事業者においてもM&Aは身近になってきているということが言えます。

個人商店や数店舗の飲食店、最近ではWebサイトやSNSアカウントなどの売買がイメージしやすいものではないかと思います。

注目を集めるスモールM&A

M&Aの注目度が高まっている背景には、様々な理由があります。

その一つは、中小企業における経営者の高齢化と後継者不在率の高まりです。

2025年には、約6割となる245万社の企業が経営者の年齢が70代以上となり、その半数が後継者不在であると言われています。

特に、小規模な企業ほど後継者候補となる人材が不足していることが多く、将来的なリスクを考えて親族への承継を後ろ向きに考える経営者も多いため、M&Aやサーチファンドなどを活用した事業承継が有効な手段となります。

別の理由として、買手側において経営戦略の一つとしてM&Aの認知が高まっていることや独立や起業を志す個人にとって効率的な手段と考える人が増えていることも挙げられます。

また、M&Aの注目度とともにM&A業者も増加を続けており、個人でも登録可能なM&Aマッチングサイトなども出てきています。

既に形のある事業や人材を確保した状態でスタートできるのがM&Aの有効性の一つとなります。

大企業ほどの投資余力がない中小企業やサラリーマン経営者にとっては、比較的少額で参入することが出来ます。

また、一から事業を開始する新規事業や独立よりもある程度リスクを抑えることができる点もスモールM&Aが現在注目を集めている理由となります。

スモールM&Aにおけるメリット・デメリット

それでは実際にスモールM&Aを検討したい場合に考慮したいメリット・デメリットについて売手側・買手側双方の視点で詳しく見ていきます。

メリット(売手側)

事業の存続と雇用の維持

業績不振や後継者不在で事業の継続が困難になった場合、第三者への会社や事業の譲渡により存続することが出来ます。

廃業ということになれば残された従業員や取引先への影響が出ますが、雇用を守り既存の取引先とも関係を継続していけることになります。

経営者のリタイア、精神的かつ身体的な負担の軽減(経営者保証や担保の解除)

高齢の経営者ほど、承継への不安や自身が病気・ケガした時の会社への影響について、頭を悩ませていることでしょう。

また、中小企業においては経営者保証や担保を社長が負っているというケースも珍しくはありません。

M&Aを行えば、そういった負担からも解放され、引退後の人生がより有意義にもなるはずです。

株式や事業の現金化

事業を長年経営し会社に内部留保がある会社や業績が良く利益を出せているような会社であれば、M&Aによって現金での売却益を受け取れる可能性があります。

非上場株式の場合、現金化することは容易ではありませんが、M&Aでの株式や事業を売却になると創業者利潤を得ることが可能となります。

デメリット(売手側)

企業文化や経営方針の変化

M&Aを行うと、基本的には買手となる企業が親会社となるため、その会社の経営方針などに従った運営が必要となります。

M&A実行時には従業員の雇用条件を一定期間は維持する取り決めをすることがほとんどのため、短期間で処遇が下がることや大きな体制変更が起こることは少ないですが、オーナーが変われば必ず変化は求められます。

また、企業ごとで文化や会社の雰囲気ももちろん違います。

同じグループとしてやっていくため、両社があらゆる部分で融合していくことが重要となりますが、想定以上に時間がかかってしまいシナジー効果が発揮できないというケースもあります。

従業員や取引先の不安

M&Aの実施については、情報漏洩のリスクを考えて従業員や取引先に対しては決定後に通達するケースが多いです。

限定的に事前に従業員や取引先からの承諾を得た上で、M&Aを実行することもありますが、それでも基本的には交渉の最終段階に開示をします。

従業員にとっては急に経営陣が変わり不安が出てくると退職のリスクは高まりますし、取引先にとってもM&A後の契約条件などが変更される可能性があれば取引中止となることも考えられます。

このような事態を避けるため、一定の引継ぎ期間を設定するなどして人材の流出や取引先の離反を防ぐことが必要となります。

メリット(買手側)

既存の設備や人材、取引先などを活用することが可能

M&Aを行う最大のメリットは、時間を買い短期間で事業拡大を図れることです。

売手企業が持つ資産だけではなく、従業員や顧客、技術やノウハウを獲得することで短時間での拡大を図ることが可能となります。

今後、国内市場の縮小が進む中で、あらゆる業界でマーケット内での競争が激化することが考えられます。企業としての持続的な成長のために、事業規模の拡大は重要項目であり、M&Aはその手段として有効な選択肢となります。

新規事業よりもリスクを抑え、将来の見通しが立ちやすい

新規事業を立ち上げる場合、長い時間と初期コストをかけた長期的な戦略として考える必要があります。

ノウハウもない状態から始める場合はある程度のリスクも覚悟のうえで取り組んでいくこととなります。

その点、その事業での実績を持つ企業を買収することが出来れば、短期的な目線での成長を見通すことが可能となります。

デメリット(買手側)

小規模企業特有の人間関係やシステムの不足などの対応に時間を要する可能性がある

社風の違う企業同士の場合、両社間の融合に時間がかかり、従業員の混乱へと繋がることもあります。

また、中小企業の中にはシステムや規程が完全でない会社も多く、業務フロー上の手続きやシステムの統合など再構築する必要があることも大いにあります。

買収時には想定していなかった資金投入が必要な場合がある

M&A実行時には、株式の対価として売手と買手双方が納得した価格での対価を支払います。

スモールM&Aとはいっても、数千万円といった株価が付くケースもありますので、専門家を介しての株価算定をお勧めします。

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また、無事買収が完了した後に想定していない資金が必要となるケースもあります。

よくあるのが簿外債務や偶発債務を知らずの内に引き継いでしまうことです。

簿外債務とは、貸借対照表上には表れない債務の事で給与・残業代などの未払や退職給付債務などがあります。

また、偶発債務としては訴訟の存在や土壌汚染などによる債務があります。

いずれにしても、目に見えない部分にリスクが隠れていることもあるため、専門家によるデューデリジェンス(買収監査)の実施や株式譲渡契約での表明保証や簿外債務に対する補償の取り決めが重要となります。

スモールM&Aの一般的な手続きや流れ

スモールM&Aという括りにしていますが、手続きや流れは通常のM&Aと大きな違いはありません。

大きく分けて3つのフェーズに分類されます。

  • M&Aの検討、事前準備
  • マッチング
  • 交渉、実行

M&Aの検討、事前準備

ここでは、M&Aの選択肢の検証から案件化までの準備段階のフェーズにあたります。

はじめに行うことは目的の整理です。

M&Aは手段であり、何のためにどういう目的があってM&Aでの売却を検討するのかを明確にすることが重要となります。

それによって、案件化時の資料作成の方向性や相手探しのターゲットが変わってくるためです。

目的を明確化できたら、次に行うのが株価評価と希望条件の整理です。

M&Aを実施するにあたって、ある程度の希望金額が定まっていないと、買手が出てきたとしても交渉がスムーズに行かなくなります。また、条件は株価の金額だけでなく、M&A後の自身や従業員の処遇、屋号や非事業用資産の取り扱いなど、会社や事業に関する条件も整理しておく必要があります。

M&Aが初めの経験となる中で、自分だけで進めていくことに不安を感じるケースも多いと思いますので、必要に応じて身近な専門家にアドバイスを求めることをお勧めします。

また、相手探しに入る前に会社の概要について、資料などでまとめておくとマッチングにおいて優位に進められるかと思います。

会社の基本情報や財務内容、歴史、取引先や従業員に関する情報、事業における強みなど定量面・定性面の両方から会社を分析できるような資料があると、買手企業が検討する上でプラスに働く可能性が高いです。

マッチング

会社の売却先となる企業を探すフェーズとなります。

知り合いや個人的な繋がりの中から相手探しをする場合は、スキップされるフェーズとなりますが、一から相手探しをする場合はどういうルートでマッチングを行うかは非常に重要となります。

アドバイザーなどがいる場合は、買手の希望などを伝えて動いてもらうことが一般的ですが、スモールM&Aの場合は手数料が比較的安価なマッチングサイトなどを利用することも一つの選択肢となります。

デメリットとして不特定多数に公開されることになるため、情報漏洩のリスクがあることは留意しておきましょう。

交渉、実行

マッチングにおいて、買手候補先が出てきたら次に重要なイベントはトップ面談となります。

買収を希望する企業の経営陣や個人の場合はその人物と直接対話をし、お互いの紹介や検討の背景などを伝えます。

トップ面談での印象次第で、その先に進むかどうか決まる可能性もあるため、しっかり面談に向けた準備をして臨むことが重要となります。

トップ面談が終了し引き続き検討するということになれば、買手企業より意向表明書が提示されることが一般的です。

候補企業が複数ある場合は、各社から提示される意向表明書を見比べて1社に絞ります。

トップ面談での印象に加え、具体的な条件や想いなどが提示されるため、それらが実行フェーズにおいての一つの基準となります。

意向表明書をもとに相対交渉を行う先が確定したら、基本合意書の締結及び買収監査(デューデリジェンス)となります。

買手から提示された意向表明書の内容をベースとして、譲渡価額やスキーム、スケジュールなどを契約書に落とし込みます。

またそれと同時に買手からの希望があれば、会社の財務状況や経営状況などの実態を把握する目的で監査を行います。

監査により、情報の食い違いや重大なリスクが判明した場合には、基本合意内容からの変更や交渉の中止といった意思決定が行われることもあります。

買収監査を終え無事M&Aの合意が取れれば、最終契約及びクロージング(決済)ということになります。

最終契約において合意された譲渡対価と引き換えに、株式や事業の引き渡しとなります。

また契約書については、当然法的拘束力が発生するものとなるため、弁護士やアドバイザーの助言をもとに進めていきましょう。

まとめ

今回は、近年注目を集めているスモールM&Aについて解説を行いました。

小規模事業者においてもM&Aを検討できる機会が増えており、少子高齢化が進む日本社会においてとても有意義なことだと思います。

一方で、M&Aを当事者同士だけで進めるのは様々なリスクがありますので、御堂筋税理士法人グループの株式会社リガーレのようなM&A専門家への相談をご検討ください。

この記事の執筆

アドバイザー中川雄太

専門領域:M&Aアドバイザリー

経営者の後継者問題や企業の成長戦略を支援するM&Aアドバイザーという職種に魅力を感じ、大手M&A仲介ブティックに入社。主に中堅中小企業オーナーに対するアドバイザリー業務に従事し、建設業や卸売業など様々な業種において計10件以上のM&A成約支援に携わる。M&Aのみに留まらず幅広く事業承継支援を行いたいという想いからリガーレに入社。M&A・事業承継を通じて企業の永続的な発展を支援する。

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