【2025年最新】M&Aの市場規模と動向

【2025年最新】M&Aの市場規模と動向

近年の日本のM&A市場は、中小企業の後継者不足や事業承継問題が背景となり、拡大傾向にあります。

この記事では近年のM&A市場の動向や今後の展望について解説します。

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M&A市場規模の変遷

M&Aの市場規模は、一般的にM&Aの件数とM&Aの取引総額で説明されます。

マーケット別M&A件数の推移

(↓グラフhttps://www.marr.jp/genre/graph/graph/entry/35326より引用)

出典:マールオンライン「グラフで見るM&A動向」(https://www.marr.jp/genre/graph/graph/entry/35326

M&Aはかつてあまり一般的に知られるものではありませんでしたが、2000年代頃からM&Aがブームとなり、件数が一気に増加してきました。

しかし、2008年のリーマンショックにより景気が低迷し、M&Aの件数も減少に転じました。

その後、2010年代には再び景気が回復してきたことに伴い、M&Aの件数も増加に転じ、日本企業による海外企業の買収の件数である「IN-OUT」型のM&Aも増加してきました。

M&A件数は、2017年には3,000件を、2019年には4,000件を超え、2024年には4,700件と過去最多を記録しています。

マーケット別M&A金額の推移

(↓グラフhttps://www.marr.jp/genre/graph/graph/entry/35326より引用)

出典:マールオンライン「グラフで見るM&A動向」(https://www.marr.jp/genre/graph/graph/entry/35326

M&A件数は増加傾向にありましたが、取引金額は途中から横ばい傾向にあり、2019年に15兆円を超えて以降は、5兆円から15兆円の間で推移しています。

年によってばらつきがあり、特に大型案件の有無に左右されています。

2018年は取引総額が約30兆円と突出して大きくなっていますが、これは武田薬品がシャイアーを6兆円超で買収した大型案件があったことによるものです。

このように、件数は増加傾向である一方で、取引金額がそれほど増加していないのは、案件の小規模化が進んでいることが要因です。

かつては中小企業では一般的でなかったM&Aが、ここ最近は、後継者不在や事業承継を理由とするM&Aが中小企業においても盛んに行われるようになってきたことで、小規模の案件が増加していると考えられます。

最新のM&A市場動向

前述の通り、最近の取引件数は増加傾向にあり、2012年から2019年まで8年連続で増加し、2019年には4,000件を超えました。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、減少に転じましたが、その後2021年、2022年と再び増加し、2022年には4,304件を記録。

2023年は一時的に減少したものの、2024年は4,700件(前年比17.1%増)と過去最多を更新し、今後も増加傾向は続く見通しです。

2024年のマーケット別内訳は次の通りで、件数については全てのマーケットで前年比増加しました。

出典:マールオンライン「2024年のM&A回顧」より抜粋(https://www.marr.jp/menu/ma_statistics/ma_markettrend/entry/56991

国内企業同士の取引「IN-IN」については、件数は大幅に増加している一方、取引金額は前年比減少しています。

事業承継型のM&Aの増加により件数が増加したと同時に、国内案件の小規模化が進行したとも言えるでしょう。

最新のM&A市場の特徴

ここでは最新のM&A市場においてどのようなM&Aが見られるのか、具体的な特徴について解説します。

事業承継型M&Aの増加

1990年代頃から中小企業の後継者問題の解決策としてM&Aが注目されはじめ、現在では中小企業にとっての資本政策、事業承継の手段の一つとして、M&Aが浸透しました。

公的機関やM&Aアドバイザリー会社による支援が充実してきたことも、近年の中小企業におけるM&Aの促進に繋がっています。

中小企業などの相談が増え、公的機関である「事業承継・引継ぎ支援センター」の成約実績も増加しています。

【事業承継・引継ぎ支援センター相談者数・成約件数の推移】

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「令和5年度 事業承継・引継ぎ支援事業の実績について」

中小企業基盤整備機構によると、2023年度の事業承継・引継ぎ支援センターへの相談者数は23,722者(前年比106%)、第三者承継(M&A)の成約件数は2,023件(前年度比 120%)と過去最高となりました。

経営者の高齢化や後継者不在という課題に加え、世界的な物価上昇、企業の賃上げ、人手不足といった経営環境の変化による先行きへの懸念も、相談件数の増加に繋がったと考えられます。

このように中小企業におけるM&Aが一般的になった一方で、不適切な買手によるトラブルも発生しています。

設立間もない事業実態のない買手企業が、株式を100%取得した直後に売手企業の運転資金を吸い上げた後、買手は行方をくらまし、売手企業が倒産に陥るという事例がありました。

株主としての権利を悪用する買手が現れたことで、売手企業だけでなくM&Aアドバイザリー会社など、専門家の間でも懸念が広がっています。

こうしたリスクに留意し、信頼できる専門家やM&Aアドバイザリー会社とともに、M&Aを慎重に進める必要があるでしょう。

スタートアップM&Aの増加

IoT事業のソラコム、アパレル事業のyutoriといった事例のように、一旦大企業に株式の過半を保有してもらい、グループ傘下に入ることで、大企業のリソースを活用して会社を成長させ、その後IPO(新規株式公開)を目指すという「スイングバイIPO」の事例が見られました。

【スタートアップのイグジット数推移】

出典:STARTUP DB「国内スタートアップ投資動向レポート」より抜粋

また、M&A市場におけるスタートアップのM&A件数のシェアが拡大しつつあります。

上図の通り、STARTUP DBの調査によると、国内スタートアップの2023年のM&A(合併・買収)件数は123件と前年比6件増、一方でIPO件数は55社と前年比6件減となっています。

2024年上半期時点のM&A件数は87件と非常に高水準で推移してり、スタートアップM&A活性化を目的とした政策の後押しもあり、出口戦略としてIPOではなくM&Aを選ぶ企業が増えていると言えます。

また、スタートアップが買手となるM&Aも増加傾向にあります。

既に上場を果たしたスタートアップ第一世代であるSHIFTや、マネーフォワードなどは上場後にその信用力を活かし、M&Aを活用して事業を成長させています。

また、GENDAやAnyMindなど、上場前であってもVCなどから調達した資金を活用してM&Aを実施し、上場後にさらに社内のM&A実行力を磨くスタートアップもあります。

このようなスタートアップ企業は、ロールアップ型のM&A戦略で多くのM&Aをグループに加えています。

ロールアップ型M&Aとは、比較的小規模事業者が多い業界で連続的に同じ業界の企業を買収していく手法です。

今後もこのような手法で規模を急速に拡大させていく企業が増える可能性があります。

TOB件数の増加

中堅・中小企業においては、売手が非上場会社である場合がほとんどであり、経営陣と株主が一致していることから、基本的に友好的なM&Aしかありません。

一方、上場企業を売手としたM&Aでは、株主価値の最大化を目的とする敵対的買収や対抗的TOBが多くなってきています。

TOBとは株式公開買付けを意味し、企業の経営権や支配権を取得するために、株式市場外で株式を買い付ける手法です。2024年はTOB元年とも言われ、これまでは年間50~80件程度だったTOBの件数は前年比35%増の100件となりました。

年間100件の大台に乗るのは、リーマンショックの前年にあたる2007年の104件以来17年ぶりです。

ベネフィット・ワンのTOBの事例のように、エムスリーがTOBを公表したのち、第一生命HDが手を挙げ、最終的に後から割り込んだ第一生命がTOBを成立させるといった、大企業による対抗的TOBも活発化しました。

2023年に経済産業省から『企業買収における行動指針』が発表され、具体的なTOBの作法が明示されたことをきっかけに、TOBの活用が進んだと考えられます。

2025年以降のM&A市場の見通し

2025年以降もM&A市場は拡大していくと見込まれます。その要因は次の通りです。

継続的な事業承継型M&Aの増加

矢野経済研究所の「国内中小企業M&Aのポテンシャル市場規模」調査によると、売上高1億円超の中小企業を対象とする国内M&Aの潜在市場規模は約13兆5000億円に上り、社長年齢が60歳以上の事業承継型が9万3536社、60歳未満の成長戦略型などを含めた中小M&A全体(約20万社)のうち約47%を占めています。

事業承継型M&Aは2035年のピークまで約10年間にわたり、緩やかに件数が増え続けると予想されています。

また、近年問題視されている2025年問題もM&A市場に大きく関わると考えられます。

2025年問題とは、国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)という超高齢化社会を迎えることで、雇用、医療、福祉など日本経済や社会の幅広い領域に深刻な影響をもたらす諸問題を指します。

人材不足による黒字廃業に陥るといったことを防ぐためにも、中堅・中小企業にとってM&Aの重要性は増していると言えます。

中堅・中小企業において、事業承継や人材不足を理由とした再編が今後さらに加速していくと考えられます。

M&Aプラットフォームの拡大

上記の通り、公的機関やM&Aアドバイザリー会社による支援の充実に加え、近年のM&Aプラットフォーム(M&Aマッチングサイト)の普及により、さらに小規模のM&A件数の増加も見込まれます。

このようなサイトの普及もあり、M&Aの認知度が向上してきたことで、専門会社がないような地方の企業においてもM&Aが促進されていく可能性があります。

また、M&Aマッチングサイトは、M&Aアドバイザリー会社に比べ手数料が安価であるため、個人や小規模の企業にとってもM&Aのハードルが下がり、小規模の案件がさらに増加すると考えられます。

大型の業界再編、企業統合の増加

業界再編とは、M&Aや提携などにより、各業界の勢力図が変化することを指します。

2000年以降、大型の業界再編が多く見られていましたが、コロナ禍以降はあまり動きがありませんでした。

日本企業の国際競争力の低下などの背景もあり、2025年以降は、大型の業界再編や企業統合が増える可能性があると考えられます。

まとめ

本記事ではM&Aの市場規模とその動向について解説しました。

今後もしばらく後継者不足や人材不足、物価上昇などといった問題は継続すると見込まれ、苦しい業界では業界再編が起こる可能性もあります。

会社や会社の従業員の未来のためにも、業界の将来性、経営環境の変化など様々な問題を鑑み、M&Aも選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

リガーレでは中堅・中小企業のM&A全般をサポートすることが可能です。様々な業界に精通しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

この記事の執筆

シニアアナリスト堀内槙

専門領域:株式価値算定、財務・税務DD、統合後の事業計画の策定等

地方銀行入行後、支店での窓口業務、融資事務、運用商品の提案サポートを経て、M&A本部に異動。主にバックオフィスとして、M&Aに関する提案書の作成、契約書の草案作成、法務チェックに加え、累計数百件を超える株式価値算定の経験を持つ。

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