M&Aのシナジー効果とは?3つの種類や具体例、算出方法・最大化のポイントを解説

M&Aのシナジー効果とは?3つの種類や具体例、算出方法・最大化のポイントを解説

M&Aを検討するに際して、シナジーについて考えることは非常に重要なプロセスです。

ここでは、そのシナジー効果の具体例や検討手段などについて解説していきます。

会社を売るか否かにかかわらず、まずはご自身の会社の価値を知ることから始めませんか。
株式会社リガーレでは無料株価診断を行っております。
お気軽に診断してみてください。

シナジー効果とは?

最近よく耳にするようになったシナジー効果という言葉ですが、具体的にはどういったものを指すのでしょうか?

一般的なシナジーの意味

シナジー(Synergy)とは、元来は生理・生物学の専門用語として筋肉の共同作用を指したり、薬学の専門用語として薬品の相乗効果を指したりする言葉でした。

それが、徐々にビジネスシーンでも使用されるようになり、複数のものが互いに作用し合い、効果や機能を高めること、簡単に言えば1+1が2以上になることをシナジー効果が得られた状態と言うようになりました。

M&Aにおけるシナジー効果(相乗効果)とは

現在はM&A用語としても頻繁に使われるようになり、売手企業と買手企業が互いに作用し合い、効果や機能が高まった結果、単体同士の売上高や利益の単純合算額を超える収益が上がるようになる状態等をシナジー効果が得られた状態と表現しています。

なぜM&Aでシナジーが重視されるのか

M&Aにおいて買い手企業は、対象企業の純資産や収益力に基づく「適正価格」に加え、将来の期待値としての「のれん代(プレミアム)」を上乗せして買収することが一般的です。

この「のれん代」を正当化し、投資回収を行うための源泉となるのがシナジー効果です。
シナジーがなければ、高値掴みとなり、M&Aは失敗に終わる可能性が高まります。

したがって、M&Aの成否は「いかに具体的なシナジーを描き、実行できるか」にかかっていると言っても過言ではありません。

【具体例】M&Aシナジー効果の主要な3つの種類

では、M&Aにおけるシナジー効果とは、具体的にどのようなものがあるのか、以下でその例を説明いたします。

売上シナジー

売上シナジー(収益シナジー)は、2つの企業が統合することで、それぞれが単独で事業を行った場合の売上高の合計を上回る売上を生み出す効果を指します。

企業の成長スピードを加速させるポジティブな効果として期待されます。

販売・チャネル

売手企業の顧客に買手企業の商品もセールスする、等単体では実現しなかったクロスセルの機会等によるシナジー。

それぞれの商品やサービスを双方の顧客へ提案・販売することが可能になるほか、双方の流通経路(販路)を活用し合うことによる増販にも期待することができます。

コストシナジー

コストシナジーは、重複する機能を統合したり、規模の経済を働かせたりすることで費用を削減する効果です。

売上シナジーに比べて実現可能性が高く、効果を定量化しやすいのが特徴です。

仕入

M&Aをすることにより得られるスケールメリットの一つ。

少量ずつではなく一括大量購入ができることにより、仕入先との価格交渉がしやすくなることから、仕入れ価格の低減を図ることができます。

製造

製造に係る設備やノウハウを共有することにより生まれるシナジー。

生産スピードがあがったり、不良率が低下する(精度があがる)など、単体で行うより製造部門に係る生産性の向上が見込まれるようなシナジー効果を指します。

物流

売手企業と買手企業の物流業務を統合することで、在庫管理に係る費用の削減や外注含む輸送コストの削減等を図ることが可能です。

管理

M&Aにおけるコスト削減シナジーの代表的なもの。

事務所の統合、余剰管理人員の削減、システムの統合等を進めることにより、固定費の削減を図ることが可能です。

財務シナジー・その他のシナジー

売上拡大やコスト削減といった事業活動(PL面)に直結する効果だけでなく、M&Aには企業の「基礎体力」そのものを向上させるシナジーも存在します。

これらは数字として即座に見えにくい側面もありますが、資金調達力の向上や組織力の強化といった、企業の持続的な成長を支える土台となる重要な効果です。具体的には以下のような要素が挙げられます。

採用・教育

M&Aを通じて企業規模が大きくなることにより、採用力の強化に期待できます。

また入社後の育成体制の整備・強化により、人材の定着率を高める効果にも期待することができます。

財務

信用力の上昇による金利引き下げ交渉や親子ローンの活用等により、有利子負債の金利負担低減を図ることが可能になります。また、のれんの償却や繰越欠損金の引継ぎによる節税効果等も財務シナジーとしてあげることができます。

M&Aシナジー効果の検討フレームワーク「アンゾフの成長マトリクス」

アンゾフの成長マトリクスとは、経営戦略の父と呼ばれる経営学者イゴール・アンゾフによって提唱されたフレームワークです。

製品と市場をそれぞれ既存と新規に分類し、どの領域で成長戦略を描いていくか、というフレームワークで、M&Aの目的や戦略を検討する段階でのシナジー分析にも用いることができます。

市場浸透戦略

既存の顧客に既存の製品を販売する市場浸透戦略は、顧客一人当たりの購入数や金額を増加させたり、頻度やリピート率を上げることにより、顧客単価を高める施策です。

市場浸透戦略を目的としたM&Aでは、同一市場内の同業他社等と統合することにより、既存市場内での競争力やシェア、ブランド力を高める効果があります。

新製品開発戦略

既存の顧客に新しい製品を販売する新製品開発戦略は、既存の顧客に既存製品とは異なる新しい製品を追加で販売していくことにより、顧客単価を高める施策です。

新製品開発戦略を目的としたM&Aでは、同一市場でありながらも、異なる製品・サービスを扱う他社と統合することにより、クロスセルによる売上高アップや製品・サービスラインナップの充実によるブランド力強化等の効果があります。

新市場開拓戦略

新しい顧客に既存の製品を販売する新市場開拓戦略は、新しターゲットやエリア等、これまでにアプローチしてこなかった市場を開拓することにより、新規顧客の獲得を狙う施策です。

新市場開拓戦略を目的としたM&Aでは、他エリアで活動する同業他社や、同一エリアでも異なる顧客層を得意とする同業他社と統合することにより、販売チャネルやノウハウの共有による売上高アップや生産性の向上等の効果があります。

多角化戦略

新しい顧客に新しい製品を販売する多角化戦略は、これまでとは異なる市場と製品分野への進出となるため、4つの戦略のなかでは最もリスクの伴う戦略と言えます。

一方で、自社の既存市場や製品の衰退に備えリスク分散ができるという点は大きなメリットと考えることができます。

また、多角化戦略はさらに次の4つに分類することができます。

水平型

大きな分類では同じ分野にあてはまる事業を開拓する多角化を指します。

ビールメーカーが焼酎製造事業に進出する、自動車メーカーがバイク製造事業に進出する等がこれに該当します。

既存の戦略やサプライチェーンを活かせることも多く、比較的少ないリスクでシナジー効果を得やすい多角化戦略と言えます。

垂直型

バリューチェーンの川上・川下へ事業を拡大する多角化を指します。

完成品メーカーが原材料調達機能や販売機能を獲得する等がこれに該当します。

既存製品の生産段階や流通段階における多角化戦略であり、内製化によるコスト削減効果や事業基盤の安定化を図ることができます。

集中型

企業の中核となる生産技術や、既存ターゲット顧客に関連する分野に進出する多角化を指します。

食品メーカーがバイオ事業に進出する、原材料メーカーが化粧品事業に進出する等がこれに該当します。

既存製品と新製品の間でマーケティングやノウハウにおける関連性を見出し、新たな市場を開拓する多角化戦略で、成長分野において経営資源を効果的に活用できれば大きなシナジー効果の発揮に期待することができます。

集成型

製品・市場ともにほとんど関連のない事業に進出する多角化を指します。

自動車メーカーが住宅事業や金融事業に進出する等がこれに該当します。既存の製品や市場とのシナジー効果があまり期待できないため、単一事業として勝負することになり、リスクは高くなりますが、既存事業のリスク分散に期待ができます。

シナジー効果の算出・評価方法

「シナジー効果がある」という定性的な期待だけでは、M&Aの意思決定はできません。

買収価格が妥当かどうかを判断するために、シナジー効果を定量化(金額換算)し、企業価値評価に反映させるプロセスが必要です。

シナジーは企業価値評価(バリュエーション)にどう反映するか

M&Aの買収価格を算定する際、一般的に用いられるのがDCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)です。

この計算において、シナジー効果は将来のキャッシュフローの上積み分として評価されます。具体的には、以下の計算式のようなイメージで買収上限額が検討されます。
買収上限額 = 対象企業の単独価値(スタンドアローン価値) + シナジー効果の現在価値

買い手企業は、対象企業が単独で生み出す価値に、統合によって得られるシナジー価値(プレミアム)を上乗せした価格を提示します。

つまり、シナジー効果を正確に見積もることができなければ、適切な買収価格を決めることはできないのです。

定量化の難しさと重要性

シナジー効果の算出は、あくまで「予測」に基づくため、過大評価(楽観的な見積もり)になりがちです。

もし過大評価して高値で買収してしまうと、後になって投資回収ができず、会計上の「減損損失」(特別損失)を計上する必要が生じるリスクがあります。

  • 「コスト削減効果」は比較的算出しやすい
  • 「売上拡大効果」は市場環境や競合に左右されるため不確実性が高い という特性を理解し、保守的なシナジー見積もりを行うことが重要です。

M&Aでシナジー効果を発揮するためのポイント

M&Aを検討するに際しては、売手企業、買手企業ともにシナジー効果を発揮するための準備が必要です。

売手企業

売手企業はM&Aの際に自社のもたらすシナジー効果について、あまり考えることがないかもしれません。

しかし、自社とシナジー効果がより大きくなる買手企業を探すことは、自社の更なる成長・発展を目的とするM&Aにおいては重要なプロセスです。

そのためには、まず自社の強みやバリューチェーンを正しく理解することが必要です。

よくある話ですが、儲かっている会社ほど、自社がなぜ儲かっているのか、自社は同業他社に比べて何が優れているのか、をあまり把握されていないケースがあります。

なぜかわからないけど昔から何となく儲かっている…これではどのような買手企業と組めばどのようなシナジー効果に期待できるのか、もよくわかりません。

そうならないためにも、まずは自社の強みや利益の源泉を正しく理解し、言語化する作業が必要です。

この段階から専門家と一緒に自社理解を深めていくのも良いでしょう。

そうすることで、M&A後のシナジー効果も見えやすくなり、買手探し等のプロセスを円滑に進めることができます。

買手企業

買手企業は売手企業に比べ、M&Aにおけるシナジー効果については検討段階から意識し期待されていることでしょう。

しかし、実際蓋を開けてみたら、思ったようなシナジー効果が発揮できていない、マイナスの影響のほうが大きい、といったM&Aもあるようです。

そうならないためには、まず戦略立案の段階から、何を目的としたM&Aなのかを明確にしておく必要があります。

M&Aは、実行することが目的ではなく、目的を達成するための手段でしかありません。

その目的を(できるだけ詳細に)明確にしておくことで、戦略とのミスマッチを防ぐことができます。

その目的を整理するためには、上記で紹介した「アンゾフの成長マトリクス」等のフレームワークを活用するといいでしょう。

また、買手企業の場合は、M&Aの実行(クロージング)がスタート地点となります。

期待通りのシナジー効果を得るためには、PMI(Post Merger Integration)というM&A後の統合過程が重要になります。

このPMIが上手くいかなければ、優秀な人材が流出したり、主要取引先との取引が無くなったり、と期待していたシナジー効果が得られないような状況となるリスクがあるため、PMIにおける統合作業は専門家の意見等も取り入れながら丁寧に進めていきましょう。

まとめ

M&Aにおけるシナジー効果を得るためには、売手企業・買手企業ともに自社を正しく理解するところからスタートします。

M&Aにおいてシナジー効果を最大限に発揮し、当初の目的を達成するためにも、まずは信頼できる専門家を交え、しっかり時間をかけて検討していくことが重要です。

御堂筋税理士法人グループの株式会社リガーレでは、数多くのM&Aにおける支援実績をもち、また戦略立案の段階から中長期での伴走サポートを得意とするプロフェッショナル集団です。

シナジー効果を得られるようなM&Aを実現したい、という企業様は是非、株式会社リガーレへお気軽にご相談ください。

この記事の執筆

取締役COO青山佳敬

専門領域:マネジメント、M&Aアドバイザリー

地方銀行入行後、法人向けファイナンス業務を担当。

その後、監査法人系M&Aアドバイザリーファームへ出向し、以後長期に渡りM&Aアドバイザリー業務に従事。国内ミドルマーケット案件を中心に多くの案件に責任者として関与、事業会社の後継者問題解決・企業価値向上に寄与。

2021年御堂筋税理士法人グループに入社、2022年からは株式会社リガーレとしてM&Aアドバイザリー業務を中心としたソリューションサービスを提供している。

  • 中小企業M&Aのプロに相談したい!
  • 自社がいくらで売れるのか知りたい!
  • デューデリジェンスについて相談したい!
  • 会計や相続対策をスムーズにしたい!

中小企業のM&Aに関するお悩みすべて解決!
買収・売却問わずワンストップでサポート!
中小企業ならではのお悩みに寄り添います!

税理士法人発、M&Aのプロが
あらゆるケースに対応します。

WEBからの無料相談はこちら 無料株価診断フォーム

TEL06-6205-8962平日9時〜18時