廃業とは?「倒産」や「解散」との違いや会社の終わり方を選ぶための選択肢について解説!

廃業とは?「倒産」や「解散」との違いや会社の終わり方を選ぶための選択肢について解説!

2024年に全国で休廃業、解散を行った企業は69,019件に達し、2016年以降で最多件数を更新しました。

そのうち、65.1%が資産超過、51.1%が直近損益で黒字となっている企業と言われています。

急激な業績悪化などが理由の企業もありますが、それ以外の理由により半ば諦める形で休廃業や解散を選択した企業も少なくありません。

今回は、廃業について、増加している理由や具体的な手続き、廃業以外の選択肢について解説いたします。

1.廃業とは?

 「廃業」とは、企業や事業者が自発的に事業活動を終了し、法的・実務的に業務を清算することを指します。

倒産のように資金繰りが行き詰まり強制的に終わるのではなく、経営者自身の意思で幕を下ろすものです。
経営環境が悪化しているわけでなくとも、以下のような理由で廃業を検討する経営者が増えてきています。

 後継者不在(事業承継の断絶)
:特に中小企業では親族・従業員に後継者候補が不在のことが多く、続けたい意思があっても後継者がいないために、廃業せざるをえないというケースも珍しくありません。後継者がいたとしても引継ぎが上手くいかず諦める場合やあえて子息に苦労をかけないための選択を取るという話を聞くこともあります。

経営者の高齢化、健康不安

ここ数年、様々なところで語れる日本経済の課題として中小企業経営者の高齢化が挙げられます。

帝国データバンクの2024年の調査では、社長が50代以上の割合が81.7%、70代以上でも24.9%ということで多くの企業の経営者がすでに高齢を迎えているもしくは今後10年以内で高齢を迎えることになっています。
体力や気力の限界もあり、老後のセカンドライフを見据え、健康なうちに引退を考える中で、廃業を検討されるというようなケースもあります。

事業環境の変化や先行き不安

近年の中小企業における周辺環境は日々厳しさを増しており、急な経営環境の悪化による業績低下や長年安定した経営を続ける企業においても成長課題を抱え、先行き不安により廃業を検討するというケースも出てきています。
また、人材の確保やデジタル化、業種によっては法規制への対応など社会変化にスピーディーに順応できず、結果的に廃業に至るということも出てきています。

このように、経済的破綻という状態ではないが、事業の将来性や経営者のライフサイクル、外部環境の変化などが大きく影響してきます。

2.倒産、解散、休業との違い
倒産

倒産は、一般的に企業が債務の支払不能に陥り、経済活動を継続することが困難になることを指し、任意に事業活動を終了する廃業とは異なります。

倒産状態に陥ると、企業は負債を整理し、会社の消滅もしくは再生に向けた手続きを行うことになります。
最終的に、会社更生法や民事再生法、清算といった法的整理が必要となることもあります。

解散

解散は、株式会社など法人格を持つ会社が法的にその存在を消滅させることを意味し、廃業と一部重なる部分もありますが、会社法に基づく制度的な言葉としての意味合いが強いです。

会社法上では、下記事由などにより解散の決定が認められています。

  1. 定款で定めた存続期間の満了
  2. 定款で定めた解散の事由の発生
  3. 株主総会の決議(特別決議)
  4. 合併(消滅会社となる場合)
  5. 破産手続き開始の決定
  6. 裁判所からの解散命令
  7. みなし解散(休眠会社において一定期間の登記申請がなされなかった場合など)

多くの場合は、株主総会の決議にて解散が決定され、廃業などを進めていく流れの中で解散が決行されます。

休業

休業は、分かりやすいと思いますが、あくまでも事業活動の一時的な中断を指し、将来的に事業を再開することを前提としているため、事業を終了させて廃業とは大きく異なります。

休業の場合、具体的には下記のようなケースが想定されます。

  • 体調不良や一時的な経営難による休止期間
  • 店舗改装や人員整理などによる一時的な業務停止
  • 法人格を維持しながらも実質的な活動は行わない休眠状態

それぞれ会社の状況や経営者の考え方により、どの選択肢で進むかの判断は変わります。

自ら事業を終了し、税務処理や社会的責任を果たしたいという場合の廃業。

財務状況の悪化による支払不能や事業継続困難に陥った場合の倒産。

一時的に事業活動を休止し、再開に向けた可能性を残したい休業。

いずれの場合も、弁護士や税理士、金融機関などの各専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要となります。

3.近年の廃業に関する動向

コロナ融資の返済開始や昨今の物価高などにより、中小企業の経営環境は厳しさを増しております。

ここでは、数年の廃業数の推移や業種別の廃業件数をまとめていきます。

休廃業・倒産件数の推移

※参照:帝国データバンク 全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)

帝国データバンクの調査によると、2024年の休廃業・解散件数は6万9,109件に達し、前年から約1万件増加し、2016年以降の最多件数となっています。

業種別で見ても、すべての分類業種において前年から増加しています。

特に、建設業、小売業、運輸・通信業、サービス業での増加率が大きく、人手不足による人件費や原材料費の高騰などが大きな影響となっております。

結果として利益率の低下や資金繰りの悪化が、廃業や倒産の増加へと繋がっています。

廃業による影響

中小企業庁の報告やリサーチ会社のデータによれば、近年の廃業件数は年々増加傾向にあり、半数近くは黒字廃業であると言われています。

また、黒字かつ資産超過でも全体の16%というデータが出ています。

上記でも述べている通り、倒産のように「続けられずにどうしても止めるしかない」というわけではなく、後継者不在などを理由に「引き継げないために止める」という企業が増えていることも事実として言えます。

特に黒字廃業の場合、単に1つの会社が無くなるというだけではなく、地域社会や経済にも多少なりの影響を及ぼします。

その地域における雇用を直接的に喪失することになり、地方であれば尚更、地域経済へ与える影響が大きくなります。

地域におけるサービス供給の低下や取引先・仕入先などに対する連鎖など、一つの経済圏の縮小を進める可能性もあります。

4.法人における廃業の手続き

どうしても、廃業の選択肢を取らざるをえない場合でも、手続きの煩雑さや廃業コストを考慮すると、決してハードルが低い選択肢ではありません。

必要となる対応事項を把握した上で、廃業を検討していくことが重要となります。
会社解散・廃業の流れは、概ね次のようなステップで進めていきます。

【Step1】廃業方針の決定、事前準備

まずは、経営者や取締役の中で「廃業」という意思決定を最終合意し、廃業に向けた方針を定めます。

具体的には、以下のような事項を明確にします。

  • 廃業時期
  • 従業員の退職時期、退職後の再就職支援
  • 取引先への通知、契約・口座等の引継ぎ
  • 債券債務の整理方針

これらは、法的に定められた手続きではないですが、従業員や取引先への混乱を防ぐための重要な事項となります。

【Step2】株主総会による解散決議

会社の解散は、株主総会での特別決議事項となるため、株主の過半数の出席かつ2/3以上の賛成が必要です。

解散決議されると、解散日の決定と清算人の選任を同時に行う必要があります。

【Step3】解散登記及び清算人選任登記

株主総会での決議が完了すると、法務局に解散と清算人選任に関する登記を申請する必要があります。

決定された解散日の2週間以内に申請する必要があり、登記が完了すると明確に解散状態となります。

【Step4】解散の届出

解散の登記が完了したら、速やかに税務署や役場、年金事務所、労働局などに税金・社会保険・雇用保険に関わる届出を行う必要があります。

各届出の提出書類によって提出期限も異なりますので、事前に確認の上、対応することが重要となります。

【Step5】解散の公告

清算手続きの開始の前に、債権者に対して公告と催告を行います。

会社が消滅すると、債権も抹消されてしまうため、事前に官報に掲載し、債権の申出を求めることを周知します。

最低でも2か月の公告期間を設ける必要があります。

また、会社が認識している債権者に対しては、催告書という形で通知を行います。

【Step6】解散時の決算書類作成、確定申告

解散登記の完了後、清算人は財産目録と貸借対照表を作成します。

解散を行う法人も、解散日までの確定申告を行い、申告書の提出義務があります。

また、最終的な清算事務をスムーズに行うために、解散日時点の財務状況を明確にする目的もあります。

【Step7】清算手続き

公告期間が終了すると同時に、清算事務を開始します。

不動産や機械設備など資産の売却、債権の回収を行い、残った現金で債務の支払を完了させます。

債務返済が全て完了し、残余財産がある場合は、株主に分配されます。
清算事務が全て完了すると、清算結了登記を行います。

株主総会で承認された決算報告書を添付し、法務局への登記が完了すると、完全に法人格が消滅することになります。
これらのステップを踏み、ようやく全ての廃業手続きが完了することとなります。

5.廃業の前に、M&Aの検討

廃業という選択肢は、非常に大きな決断である一方で、従業員や取引先への影響も考慮することが大切です。

また解説の通り、法的・税務的にも煩雑な手続きがつきまとい、経営者にとっても非常にストレスのかかる対応が続きます。

もし会社の行く末に悩まれている場合は、廃業を決める前に、一度M&Aの可能性を模索することをお勧めします。

廃業の場合、従業員の雇用や取引先との関係性はゼロとなり、地域社会に及ぼす影響も出てきますが、M&Aで買手が見つかれば、会社や事業を継続していくことが可能となります。
M&Aの場合も乗り越えなければならないハードルはありますが、これまで築き上げてきたものを第三者に承継し、譲渡対価として創業者利益の獲得が出来、会社の存続も果たすことができる素晴らしい選択肢であることは間違いありません。

6.まとめ

今回は、廃業に関する動向や手続きについて解説を行いました。

近年、黒字でも後継者不在を解決できず、廃業を選択する企業も増えています。

本当に廃業の選択肢しか残されていないのか、決断する前に一度考えることで最終的な結果が大きく変わるかもしれません。

また、事業承継を行う際には専門家に相談しながら、どの方法が最も良い選択肢なのかを検討していく必要があります。

弊社リガーレでは、M&A・事業承継から相続と幅広い支援実績がございます。

事業承継に関するお悩みや疑問をお持ちの方は、是非当社まで気軽にお問い合わせ・ご相談下さい。

この記事の執筆

アドバイザー中川雄太

専門領域:M&Aアドバイザリー

経営者の後継者問題や企業の成長戦略を支援するM&Aアドバイザーという職種に魅力を感じ、大手M&A仲介ブティックに入社。主に中堅中小企業オーナーに対するアドバイザリー業務に従事し、建設業や卸売業など様々な業種において計10件以上のM&A成約支援に携わる。M&Aのみに留まらず幅広く事業承継支援を行いたいという想いからリガーレに入社。M&A・事業承継を通じて企業の永続的な発展を支援する。

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