親族外承継とは?方法やメリット・デメリットを解説
事業承継を考える際、最も重要なこととして「誰に事業を承継していくか」といった問題があります。
例えば世襲制の会社の場合は親族、つまりご子息やご家族のどなたかに事業を継承するという方式をとられることが多いでしょう。
しかし、昨今は親族で承継できない会社も増加しており、親族外の承継も一般的になってきております。
ここでは親族外承継について概要をご紹介するとともに、その具体的な方法やメリット・デメリットについて解説していきます。
【前提】親族外承継とは?
一般的に事業承継は親族「内」承継か親族「外」承継の大きく二パターンに分類されます。
このうち、今回ご紹介する親族外承継とは、事業承継する場合に親族以外の役員・従業員や社外人材に事業を承継する及びM&Aを指します。
親族外承継のタイプ
タイプ1.社内人材への承継
まず社内の人材への事業承継です。
基本的には内部昇格の形が取られるケースが多く、幹部の方が代表取締役になられるケースがあります。
タイプ2.社外人材への承継
社員や役員でもない、社外の人物に承継する方法もあります。
これを第三者承継と言い、経営の意欲がある人物や経営のプロを招へいすることで会社のさらなる成長が見込める可能性があります。
親族外承継をする4つの方法
ここでは親族外承継を実行するにあたって取りうる3つの方法について解説します。
1.内部昇格
企業内の現役の従業員を、親族以外の後継者として指名する方法です。この方法は、組織やそれぞれの従業員のパーソナルな部分を理解しているためメンバーからの信頼があれば経営自体の承継はスムーズに進むと思われます。
2.外部招へい
外部の人材を後継者として招へいする方法です。この方法では、過去のしがらみもないため客観的かつ冷静に人選でき、将来のニーズに柔軟に対応できる後継者を選び出すことができる反面人の選定が難しいうえ組織への融合はその人の素養に大きく関わってきます。
3.M&A
M&A(Mergers and Acquisitions)を利用して、外部の企業に譲渡する方法です。M&Aを利用することで、他社の優れた経営ノウハウを活用することができます。
親族外承継のメリット
ここでは親族外承継の想定されるメリットについて、いくつかご紹介していきます。
1.専門性の高い人材の選択肢の増加
親族外承継を利用することで、外部から専門性の高い人材を招へいできる可能性があります。
親族内承継のみを選択肢として見ている場合、どうしても限られた選択肢の中から「誰に事業を承継するか」といったことを考えなくてはなりません。
たとえば現経営者の親族が必ずしも事業を継ごうと考えているとは限りません。
一方、親族外承継を利用することによって外部から専門性の高い人材を幅広い選択肢の中から選定することができるようになるため、会社にとって最適な選択を取ることができるようになります。
2.客観的な人材の選定
創業者や現経営陣の親族以外から経営者を招へいする場合は、専門的な知識を持っていたり、マネジメント能力の高い人物を客観的に選定することができるようになります。
3.企業の発展に向けシナジーが高まる可能性がある
これにより企業発展の期待値が上がったり、新しい経営者が独自に保有しているネットワークや知見・ノウハウなどを現在の会社に新たに組み入れることによって、企業をより大きなものに発展させられる可能性が出てきます。
親族外承継のデメリット
親族外承継にもデメリットがいくつか存在します。
ここでは親族外承継の想定されるデメリットについてご紹介していきます。
1.コストの高さ
親族内承継と比較してコストがかかるというデメリットがあります。
親族外承継の場合は様々なマッチングサービスを利用するなど、外部から人材を招聘してくるケースでは人材とマッチングするためのコストがかかります。
一般的に人材採用の際も人材紹介業者を利用した場合は紹介料を支払う必要がありますが、これと同じような枠組みで費用がかかり、コスト高になる恐れがあるということです。
2.チームワークへの影響
外部から人材を招聘することになるため、前述しているとおり従業員からすれば全く組織を知らない方が経営を担うことになるため社内のチームワークに影響を及ぼす可能性があります。
3.既存従業員の離職リスク
経営者が変わることにより、会社のミッションや組織のマネジメント体制に変更点が出てくる可能性があります。
こうしたことから新しい経営者の考え方や業務オペレーションに馴染むことができず、既存従業員が離職するリスクがどうしても出てきます。
まとめ
今回は「親族外承継」という事業承継の一つの選択肢についてご紹介してきました。
親族外承継は事業を誰に承継していくかといった部分で、事業承継の選択肢になります。
メリット・デメリットという形で述べましたが、親族内承継・親族外承継それぞれの留意点を踏まえて選択していくことが事業継続に重要です。
事業承継を行う際には専門家に相談しながら、どの方法が最も良い事業承継なのかを検討していく必要があるでしょう。
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