株主総会の決議事項とは?押さえるべき3つのポイントと決議事項例を紹介
株主総会ではなにが決議されるのか、また、決議要件をしっかり抑えておくことは経営上の重要課題でもあります。
なぜなら、株主総会では法人の重要事項を決定し、また、どのような決議を株主総会でとるかは会社法で規定されているためです。
したがって、円滑な会社経営を行うためにはこれらのこと念頭に置いておく必要があるのです。
ここでは株主総会の決議事項について、押さえるべきポイントと決議の具体例をご紹介します。
また、株主総会の決議事項はM&Aや事業承継の場面でも重要です。そのため、M&Aや事業承継において気をつけるべき決議事項についてもご紹介します。
株主総会の決議事項で押さえるべき3つのポイント
それでは、株主総会の決議事項で押さえるべき3つのポイントをご紹介します。
ポイント1.決議事項
株主総会の決議事項とは、株主総会で決議すべき会社運営において重要な事項のことです。会社の組織・事業に関する重要事項や役員の選任や解任などが該当します。
取締役会”非”設置会社 | 株式会社に関する一切の事項について決議できる |
取締役会設置会社 | 会社法および定款で定めた事項を決議できる |
取締役会”非”設置会社では、株式会社の組織、運営、管理など株式会社に関する一切の事項について決議ができます。
また、取締役会設置会社では、会社法でどのような事項を株主総会で決議すべか明示しています。
そのため、会社法や定款であらかじめ定められた事項を株主総会で決議できます。逆に言えば、本来株主総会で決議すべき事項を内々で株主総会を経ずに決議しても無効になる可能性があります。
ポイント2.決議の種類
株主総会の決議事項は、その決議をするにあたり、決議方法が異なります。
以下に、簡単にまとめました。
決議の種類 | 定足数 ※定款による変更がない場合 | 決議要件 ※定款による変更がない場合 |
---|---|---|
普通決議 | 行使できる議決権の過半数を持つ株主の出席 | 出席株主の議決権の過半数 |
特別決議 | 行使できる議決権の過半数を持つ株主の出席 | 出席株主の議決権の3分の2以上 |
特殊決議 | なし | 議決権行使できる株主の半数以上で、かつ、株主総会で行使できる議決権の3分の2以上 |
普通決議<特別決議<特殊決議という順番で、決議には厳格な要件が課されます。なお、定足数や決議要件は定款で変更できるケースもあるので、定款の確認も重要です。
また、特則普通決議、特別特殊決議、総株主の同意などの決議方法もあり、どの決議方法を取るのかは、決議事項の内容や定款により変わります。
ポイント3.決議の省略
株主総会で以下の決議は省略できるケースもあります。
- 議決権を持つ株主全員が書面か電磁的記録のいずれかで同意している
- 簡易組織再編行為や略式組織再編行為
なお、完全子会社などは株主総会を開催しなくとも、株主総会を開催したと同等の効力が生じます。
M&Aや事業承継をお考えの方で、株主総会や決議に疑問や不安があるという方は、
ぜひM&Aや事業承継のスペシャリストであるLIGARE(リガーレ)へお気軽にご相談ください。
決議の種類により変わる議決事項の例
先程、株主総会の決議事項の内容により決議方法が変わるとご紹介しました。
では、どのような決議事項であれば決議方法が変わるのでしょうか。
以下では、決議方法ごとにどのような決議事項があるのがご紹介していきます。
普通決議の場合
普通決議では原則、以下のような事項を決議します。
会社にとってメリットになるような事項は普通決議に該当することがあります。
取締役会ありの場合 | 取締役会なしの場合 |
---|---|
・役員の選任、解任 ・役員報酬等 ・自己株式の取得 ・資本金の増加 ・準備金の減少、増加 ・剰余金の配当 ・剰余金の処分 ・株主総会議長の選任 など | ・株式分割 ・募集新株予約権の割当 ・譲渡制限株式の割当 ・譲渡制限株式の譲渡取得承認 ・代表者の選定 ・株式会社にかかる一切の事項 など |
特別決議の場合
特別決議では、原則として以下の事項が決議されます。
普通決議よりも、より慎重な決議が求める事項を特別決議で決議されます。
また、M&Aや事業承継に関連する事項も特別決議に多く該当しています。
- 定款変更
- 事業譲渡の承認
- 解散
- 資本金の減少
- 株式併合
- 合意による自己株式の取得
- 相続人等に対する売渡請求
- 全部取得条項付種類株の取得
- 合併、分割の承認
- 株式交換、株式移転、株式交付の承認
- 募集株式等のかかる募集事項の決定 など
特殊決議の場合
原則、以下の事項は特殊決議で決議を行います。
特別決議よりも、より一層厳格な要件が定められています。それほど重要な事項を特殊決議で決議します。
- 全株に譲渡制限をかける定款変更
- 公開会社で譲渡制限株式等がある場合の吸収合併契約等の承認
- 公開会社で譲渡制限株式等がある場合の新設合併契約等の承認 など
M&A・事業承継で注意すべき決議事項
M&Aや事業承継では株主総会で承認が必要な事項がたくさんあります。
とりわけ、普通決議よりも特別決議や特殊決議においてM&Aや事業承継にかかる事項を決議する傾向にあります。
つまり、M&Aや事業承継をスムーズに進行するためには、厳格な要件が求められる特別決議や特殊決議を通すための事前準備が重要となります。
そのため、議決権を有する株主数、そのうち株主総会に出席する株主数、決議事項が否決される可能性はあるのかなどを把握する必要があります。
株主総会で決議事項が否決されると、予定していたスケジュールに遅れが生じたり、経営に影響を及ぼす可能性があります。
株主総会の決議事項は事前準備が大切
会社経営の中でも特に重要な事項が株主総会で決議されます。決議事項が否決されないためにも、事前の準備が重要となります。
例えば、特別決議で決議すべき事項を普通決議で決議したとなると、その決議が無効となる可能性があります。事前に手順や決議方法にミス(瑕疵)がないかよく確認しておきましょう。
また、株主総会では、招集や議事録の作成と保管、質問への回答準備などさまざまな事前準備や後処理があります。これらも忘れずに行うことも重要です。
最後に、M&Aや事業承継をお考えの方で、株主総会や決議に疑問や不安があるという方もいらっしゃるかと思います。このような時は、ぜひM&Aや事業承継のスペシャリストにご相談ください。
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